KIRI-REQU
□鳴かぬなら鳴かせてみせよう何とやら
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油断した。としか、言いようがない。こんな廃れた城に手練れな忍がいるなんて聞いてないし、思いもしなかった。文次郎が知ったら、気が弛んどるバカタレ!とか、説教されるのだろう。
「…………小僧。貴様どこの忍だ?吐いた方が楽だぞ?」
「…………っ。」
天井から吊るされた縄がギシギシと軋む。両腕を縛り上げられ、地下牢に繋がれた長次は、これから起こるであろう苦行に身体を強張らせた。
この日、長次は単独の任務でとある城へと潜んでいた。授業の一貫だが、教師がついて来ることはない。さすがに何日も戻らなければ捜索されるのだろうが。
調べた情報によると、度々の戦で城はがら空き。目的の物もさほど厳重に保管されているわけではないときた。……そのわずかに生じた油断と隙が背後に現れた城忍への対応を遅らせた。
「まったく、近頃はこういう輩が増えて困るな……何もない城だというのに。私の仕事が増えるだけではないか。」
ゆっくりと近づいてくる男の瞳に、不穏な光が煌めいた。それに気付いた長次がビクリと身体を跳ねさせる。背筋に冷たい汗が伝った。
「お前………………意外と整った顔をしているな…………。」
「っ!」
くいっと顎を上げられ、舐め回すかのような視線に、長次は必死に耐えた。
「……フッ。そろそろ拷問で吐かせるのも飽きてきたところだ……。ちょうど良い、お前には新しい趣向をこらしてみようか。」
「…………っ!なっ!?」
シュルリ……と帯をほどかれ、袴がずり落ちる。さらに褌まで取り払われ、さすがの長次も焦った。
「や、やめ…………っ!」
「なら、大人しく吐け。」
「………………っ。」
長次はギュッと唇を噛んだ。そんな簡単に情報を流すわけにはいかない。この城と学園は何ら敵対関係は無いが、もし今後の関係に捩れが出来ては困る。
長次が逆らわないと悟り、男の唇がニヤリとつり上がった。おもむろに懐に隠しておいた苦無を取り出し、長次の喉仏辺りに切っ先を向ける。
「っ!?」
喉元を掻き斬られる。死への恐怖が長次を襲った。
「くくっ、そんな顔をするな。殺しはしない。」
ビリィーーーッ!
そのまま下へ下りた切っ先は、長次の忍服を切り裂いた。ハラリと袷が開き前がはだける。ほぼ全裸にされた身体を男の指がツツゥ……となぞり、そのこそばゆさに長次が身を捩った。
「…………っ、ん。さ、わる、な……っ!」
「……なかなか、感度が良いみたいだな。」
「な、なに…………っひぁあっ!?」
ツプリ……と、あろうことか、男の指が長次のすぼまった秘孔に侵入してきた。信じられない男の行動に、長次は身を捩って抵抗する。
「やっ、やめろ……っ!…………ん、ひっ!?」
「……………………………………チッ。」
しばらく秘孔を弄くっていた男が、何かに気づき舌打ちをする。その目に煌めくのは、自分の玩具を取られた子供のような小さな嫉妬。
「…………………………お手付きか。お前、男とまぐわうのは初めてではないな?」
「………………っ!」
目を見開き絶句する長次を鼻で笑い、男は懐を探り始めた。
「まだ子供だからと見くびっていた……。すでに男を知っていたとは……。お前は、色忍なのか?」
「…………………………。」
長次は口を開かない。わざわざ否定して相手に情報をあげることもない。腹立たしいが、そのまま勘違いしてもらったほうが助かる。
「………………………………ほう、なるほど。では、普通に突っ込んだだけでは吐かないというわけだ。」
ニヤリと笑う男に、長次の背筋が凍った。……なんだか、とてつもなく嫌な予感がする。
「何とも苛めがいのある獲物だな……。今まで貴様が味わったことのない快楽を……教えてやる。」