KIRI-REQU
□タソガレドキ忍者による性教育
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「……………本?」
放課後、鍛練に行こうと中庭を歩いていた長次は、通り道の真ん中に落ちている一冊の本を発見した。
誰かの落とし物だろうか?と、拾い上げペラリと頁をめくってみた。
「…………………えっ!?」
長次は驚いた。何故、こんな物が中庭に落ちているんだ!?
「…………その本を、こちらに渡してもらおうか。」
「っ!!?」
立ち尽くしていた長次の背後から声がして、驚いて振り返った。
「…………っ!お前たちは……タソガレドキの……?」
そこにいたのは、いつも目の前に現れる忍組頭の部下達。確か名前が………山本陣内と高坂陣内左衛門だったはず。
「……………………これは、お前達のか?」
長次に軽蔑の眼差しで睨まれ、2人は慌てて首を振った。
「「違う!!それは、殿の物だ!!!」」
密かに想いを寄せている子からの冷たい視線に全力で否定する。
長次がこんな反応をするのも無理はなかった。だって、この本の中身は春画………つまりエロ本だったのだから。
「……………つくなら、もっとマシな嘘をつけ…………。」
「本当なんだって!!殿に頼まれて手に入れたのを、この学園に寄った時に落として……!」
「でも、何もそこまで軽蔑しなくても良いだろう。…………長次だって、春画くらい見てるだろ?」
高坂の言葉に長次がピクリと反応した。
「…………………見ない。そんなの。」
「え!?だって、抜くときとか、結構お世話になるだろ?これに。」
驚く高坂に、長次は顔を真っ赤にして首を振った。
「…………………自慰とか、しない。したこと、ない……。」
山本と高坂は唖然となった。思春期の男子で、そんなことって有りなのか?
「………そういうの、良く分からないから…………。」
……………ゴクリ。
恥ずかしそうにモジモジする長次に、2人は唾を飲み込んだ。
………是非とも教えてさしあげたい。
邪まな願望が心に渦巻いたが、何とか冷静に頭を働かせる。
(いやいや、さすがにダメだろ、こんな純粋な子を汚しちゃ。てか、あんなに真っ赤になって……どんだけウブなn「私が、教えてあげようか?」
「「「っ!!!?」」」
いきなり背後から声をかけられ、3人はビクついた。
「「っ、組頭!!!?」」
「私もいますよ!」
現れたのは、タソガレドキ忍組頭の雑渡昆奈門と、高坂らの後輩の諸泉尊奈門。
「……………教えるって、何を?」
長次の問いに雑渡はニヤリと笑った。
「何って…………、性行為のイロハを………ね?」
「「「なっ!!?」」」
長次と山本、高坂が同時に目を剥いた。
「そんなの、頼んでない。」
「でも、いずれは知らないといけない事だよ。プロ忍になったら、そういう任務だってあるんだから。」
「えっ!?」
長次は一流忍者を目指す心が少し挫けた。だって、そういうのって………。
「好きな人と、することじゃないのか…………?」
どんだけピュアなのこの子!!
タソガレドキ忍者の4人は同時に心の中でツッこんだ。
…………………しかし、これほど純粋でウブな子が乱れたら、どうなるのだろう。
攻めまくって乱れさせたい。と言うか、自分色に染めてみたい……。
1番先に行動を起こしたのは雑渡だった。長次をヒョイッと抱え上げて塀に飛び乗り、学園の外に出る。
「っ!?ちょっ………何をする!!」
「大丈夫。私たちがちゃんと教えてあげるからね。」
…………え?それってまさか………。長次は嫌な予感がした。
「もちろん、性行為のすばらしさを。」
長次は一軒の空き家に連れ込まれていた。
正座する長次の目の前に春画を広げ、反応を窺っていた雑渡だが、何の反応も示さない長次に首を傾げた。頬を染めてるところを見ると、全くの無関心というわけでもなさそうだが……。
「……………これを見て何も感じない?」
「……………、恥ずかしい、とは思う………けど………。」
性的興奮まではいかないということか…………。
「じゃあ、この絵を自分と好きな人に置き換えてみたらどうだ?………………ちなみに私は長次に置き換えて見てるけど。」
「はぁああっ!!!!?」
諸泉の爆弾発言に長次は目を剥いた。
「…………………お前の脳内では私は女になっているのか?」
「いや、男だけど……………。長次、男同士でも性行為できるって、知ってるか?」
「………………………え?」
長次の反応に4人は愕然となった。今のご時世で知らない人などいないだろうに……!
きょとん…とする長次に、嘘をついている感じはない。
こんなんで、良くあの学園で貞操を守ってこれたな…と感心した。あそこには長次を狙っている者が意外と多い。