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□大好き、ずっと大好き
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エイリア戦が終わり、全国から集められたメンバーたちは各地方へと帰って行った。
僕もそのひとりで、今は僕の地元である北海道へ向かう途中。
イナズマキャラバンの中は先程まで騒がしかったとは思えないほど静かだった。
慣れない車での長旅に疲れているのだろう。
僕以外はみんな眠ってしまっていた。
静まり返るキャラバンの中で、僕はひとり窓の外を眺め、何度目かのため息をついた。


「…僕、このまま帰ることになるのかなぁ…」


僕はまだ白恋中に帰りたくなかった。
別に白恋中に帰りたくない訳じゃない。
白恋中のみんなにはすごく会いたい。
でも、僕はまだ豪炎寺君と一緒に居たかった。




北海道へ帰る前日の日、キャプテンのお気に入りの場所である鉄塔広場で僕は豪炎寺君に告白をした。
北海道に帰ってしまう前にこの押さえきれない想いを伝えたくて、思い切って言った「好きです」という言葉。
豪炎寺君はすごく優しい愛しいものを見るように微笑み、僕を抱きしめ、そして「…俺も好きだ」と言ってくれた。
嬉しすぎて泣きそうになった。
ずっとこの時間が続けばいいと、本気でそう思った。




もちろんそんなことは不可能で。
だから今こうして北海道に向かっている訳だが。

付き合い始めて1日で離ればなれになるなんて、いくら何でも悲しすぎる。
しかも、豪炎寺君が居る東京と僕が居る北海道では、距離が離れすぎている。
そんなに離れてたら会いたくても簡単には会えない。
だから…次にいつ会えるか分からない。


「……豪炎寺君…」


大好きなひとの名前を、みんなには聞こえないように言ってみる。
それだけで僕の心拍数は少しだけ加速する。
と、同時に、もうすぐ会えなくなると思うと目頭が熱くなってくる。

もう一度小さな声で「ごうえんじ」と言ったところで僕の目からは涙が溢れ、その後は嗚咽感に負けてしっかりとした言葉を発することが出来なかった。
それでも途切れ途切れに彼の名前を呼んでは涙を流した。

…そのときだった。
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