うた☆プリ

□誓いのキスは午前0時に
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「ん・・・れい・・・じ・・・?」
朝起きると、蘭丸は確かに一緒に寝ていたはずの嶺二の姿がないことに気づいた。
「・・・・」
ガバっと蘭丸は布団を剥がし身を起こした。
「おい、嶺二。どこ行ったんだ?」
部屋を見渡しても嶺二の姿は見当たらない。
たくっと頭を掻いて、蘭丸は着替えて部屋を後にした。

部屋を出ると、目の前に藍が立っていた。
「お?藍?」
「おはよう、蘭丸。さぁ、行くよ」
無表情でそう言って藍は蘭丸の腕を掴んで歩き出す。
蘭丸は状況が飲み込めずただ藍に付いて行くしかできなかった。

「・・・・・・ここかよ?」
「うん。入って」
藍に連れてこられたのは4人の楽屋だった。
「んだよ、別に連れてこられなくても来たっつの」
「遅いから連れて来たんだよ」
「遅い?」
蘭丸は藍の言葉に違和感を覚えたが押されるがまま楽屋に入った。

「ランラ〜ン!!」
「ぅお!?嶺二!?」
入った瞬間目の前には嶺二がいて蘭丸は驚いた。
「てか、抱きついてんじゃねぇ!暑苦しい」
と、いつものようにあしらおうとしたが、今日はなかなか離れようとしない。
「おい、嶺・・・」
そういい掛けた蘭丸を無視して
「ランラン、お誕生日おめでとう」
嶺二がこの上ない笑顔で言った。
「・・・・んだよ、それ。」
そう言いながら蘭丸は頬を赤く染めた顔をぷいっとそっぽに向かせた。
「あれれ??ランラン?」
と、嶺二は蘭丸の顔を覗いたが、蘭丸は目を合わせてくれなかった。

「そうか・・・なんか、ありがとな」
蘭丸は少し照れくさそうに言った。
なにやら、これは3人で企画した誕生日パーティーらしい。
今日の仕事というのは本当は無くて、サプライズのための演出だったようだ。
「じゃあ、僕とカミュは仕事だから。」
「今日はゆっくり過ごすんだぞ、黒崎」
「ああ。ありがとな」
じゃあね、と藍とカミュは楽屋から出て行ってしまった。
そして残ったのはプレゼントの袋を両手いっぱいに持った蘭丸と、嶺二の二人だけだった。

「ランラ〜ン」
なんでこんなことになってんだ?と蘭丸は心中で思う。
こんなこと、というのは嶺二が蘭丸にひっついてずっと名前を呼んでいることだろう。
「おい、嶺二。いつまでやってんだよ」
苛立たしげに蘭丸が言っても聞いてないとでもいうように嶺二は離れない。
(一体何がしたいんだ・・・?)
「ランランはどうして離れてほしいって思うの?」
「は?」
突然の嶺二の言葉は蘭丸には理解できなかった。
「ランラン、僕に離れてほしいって思ってるでしょ?」
「そりゃ、暑苦しいし・・・」
蘭丸は嘘を付いた。
嶺二にくっつかれているのは嫌じゃない。むしろ嬉しい。でもいつも通りの照れ隠しで嘘を付いてしまった。
「・・・じゃあ、どうして・・・」
蘭丸は嶺二の顔を見た。
その言葉を聞いて何故だか不安になったからだ。
「・・・・」
嶺二は今にも泣きそうな自分が情けなくて抑えているのか、涙をこらえているように見えた。
「何で・・・何でそんな顔すんだよ」
「ランラン・・・覚えてないの・・・?」
そして時は遡る。
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