うた☆プリ

□4人分のHappyBirthday!!
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6月9日。今日は早乙女学園アイドルコースの四ノ宮那月、砂月、来栖翔とその双子の弟、来栖薫の誕生日である。

とある一室でその3人が集まっていた。(砂月もいれると4人だが)・・・否、正確に言うと集められていた。
「いったい何なんだろうね?」
那月が問いかけると
「知らねぇよ。つか、あいつら呼んでおいて遅くね?」
と、翔が呆れた口調で言う。
すると、そこまで2人に気を遣って黙っていたのか、薫が口を開いた。
「翔ちゃん達は今日は忙しくないの?」
いつもは忙しいのに。と、少し嫌味のように言った薫に翔が宥めるように言った。
「今日はオフだよ。それに今日くらいは薫に会いたかったしな。」
「翔ちゃん・・・・・!」
薫は目をキラキラ輝かせ今にも翔に抱きつきそうだった。
「2人とも仲良いなぁ。羨ましいよ!」
と、那月はいつもの調子で2人を眺めていた。
すると、先ほどまで話題になっていた『あいつら』が部屋に入ってきた。
「あ!音也、遅ぇよ!!」
と、待ちくたびれた様子の翔が大きな声で言った。
「ごめん、ごめん」
と、音也が謝る。
すると、横からトキヤが顔を出し謝罪の言葉を口にした。
「待たせてすみません。少し打ち合わせがありまして・・・」
と、トキヤが珍しくにっこりと笑って言った。
それには、音也もびっくりしていたが、そんなことなど知らないトキヤは話を進めようとしていた。
「それで、なんで呼び出したんだよ?」
「うん、僕も気になる!」
「そうだねぇ」
と、翔につられて薫と那月も身を乗り出すように聞いてきた。
思わずトキヤは笑ってしまいそうになったが、必死にこらえて話を進めることにした。
「呼び出した理由は既にわかっていてもおかしくはないですが、貴方達の誕生日が今日だからお呼びしたのです。」
それを聞いた3人は
「やっぱりか・・・」
「わぁ・・・覚えててくれたんですね〜♪」
「僕まで・・・・・ありがとうございます」
と、1人を除いて素直に喜んでいた。
「で〜もっ!喜ぶのはまだ早いよ?」
と、音也が声を上げた。
「そうだぞ。」
「なんたって、まだプレゼントもあげてないんだからさ」
と、真斗とレンも声を上げた。
「ほら!翔には帽子と早く大きくなるように乳製品ですよ。」
「いや、トキヤ。にっこりしながら後半の言葉を言うな!傷つくわっ!!」
「す、すみません。そんなに傷つくとは・・・」
翔とトキヤのやり取りを見つつも自分のやるべきことを済ませようとレンが大きい袋を持って那月の傍に行った。
「シノミー、はい。このひよこのヤツ、シノミー好きでしょ?」
「はい!大好きです!ありがとうございます、レンくん♪」
「ん、喜んでくれて良かったよ」
と、2人のやり取りをよそに、真斗もプレゼントを渡していた。
「これ。来栖のぬいぐるみだ。」
「えぇ!?翔ちゃんの?まさか真斗さんが・・・・?」
「あ・・・ああ、まぁな/////」
「わぁ!!すっごく可愛い!ありがとうございます!一生大切にしますね!!」
「あ・・・ありがとう・・・」
全員のやり取りを見届けて音也が口を開いた。
「よぅし!んじゃ、那月。ちょっと眼鏡とって」
「うん。さっちゃんにもくれるんだね?」
「うん!」
「ありがとう」
そう言うなり那月が眼鏡をとった。
すると、さっきまでニコニコ笑っていた顔から一瞬で笑顔が消え去り、砂月が出てきたのだと誰もがわかった。
「砂月〜」
「なんだ」
「えっと、砂月の趣味とかよくわかんなかったから那月が好きなピヨちゃんグッズを那月と山分けできるようにしたんだ。はい、どうぞ!」
と、音也が差し出すと
「いらねぇ。那月にやれ」
「えっ、でも」
「別に俺はいらねぇよ」
「じゃあ、何なら好きだったの?」
少し悲しそうな顔で言う音也に、少し同情したのか砂月が少し黙って口を開いた。
「俺の好きものは・・・・」
一同が緊張の面持ちで砂月を見つめ、この部屋はシンと静まり返った。
「・・・・・HAYATO・・・・」
一同はそれを聞いた瞬間ぽかーんと口を開けていた。
ただ、1人だけトキヤは嫌な予感がしてならなかった。
「じゃあ、HAYATOを呼べば喜ぶの・・・・?」
半ば無意識で喋る音也に砂月は珍しくニっと笑い頷いた。


そして、トキヤに呼ばれたHAYATOが来た。
「お・・・お誕生日おめでとうにゃ砂月くん!」
「HAYATO・・・・会いたかった」
HAYATOの言葉を無視するくらいの早さで砂月が口を開いた。
「へっ!?」
砂月の言葉に驚いて声を発すると、砂月はもっと楽しそうになった。
「可愛い声出すんだな。ますます好きになった」
「あ、ありがとにゃん♪」
必死に笑ってみせるHAYATO。
「・・・やっぱりお前がいい。どこの女より、男よりも。もう、このまま結婚したいくらいだ。」
「・・・・・・にゃ?」
『は?』と言いかけたが、寸前で止めてなんとか誤魔化した。
周囲はいまだにぽかーんとしているが、ただ1人レンは笑いを必死にこらえている。
「ま、お前が俺のことを好きになったらお前から来い。それまでは俺がお前の所に行ってアタックしてやるよ。」
と、なんとも上から目線の砂月に
「わ・・・・わかったにゃん☆」
と、必死にHAYATOを演じきったトキヤが少し引きつった笑顔を見せた。


HAYATOは仕事で帰ると言って帰ってしまい、トキヤが帰ってきた。
「いや〜、今日はいろいろ楽しかったね!」
音也が言うと、
「そうだな、喜んでもらえたしな。」
と、真斗も続いた。
「そうだね。面白いもの見れたし。」
と、レンは満足そうに言った。
「あ、あのさ」
3人が不意に立ち止まり、4人に振り返った。
「えと、きょ・・・今日はありがとな/////」
「とぉ〜〜〜〜〜っても嬉かったです!」
「本当にどうもありがとうございました。」
「あ、さっちゃんもありがとうって言ってるよ!」
その言葉を聞くなり、音也達は
「うん!俺達もなんかお礼なんていってもらっちゃってありがとう!!」
と、何故か皆で『ありがとう』の言い合いになってしまった。
勿論、笑顔で。



                                  〜END〜
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