連載
□『初デートですけど、なにか?』
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青学との練習試合から数日、いよいよ越前くんとのデートの日がきました。
……きたんだけどね
「玲奈ちゃん!越前じゃなくて俺とデートしてほしいCー!」
「クソクソっ!玲奈俺とデートしろ!」
なぜか朝起きたらこの人たちがいたんだよ。てかいつ来たんだよ、いつ。
『がっくんとジローちゃんには悪いけど、約束したのは越前くんだからさ』
「そんなんドタキャンしぃや」
『侑士くんまで何言ってんだ。てか私からお願いしたしそんなことできないよ』
「じゃあ俺も一緒に行く!」
『いやこれ一応デートだから』
そんなこんなで朝から大変です。
頼むから大人しくしててくれ。
「玲奈さん、そろそろ12時っすけど大丈夫ですか?」
がっくんに無理矢理連れてこられた日吉くんが静かに言った。ちょ、遅刻しちゃうじゃん!
『じゃあ行ってくるね!侑士くん、夕飯までには帰るから!』
「気ぃつけて行きや〜」
「玲奈ちゃーん!」
「玲奈ー!」
「先輩たちうるさいですよ」
みんなに見送られながら、私は待ち合わせ場所に向かった。
******
『間に合ったぁ…』
時間がヤバかったから少し走ったものの、なんとか間に合った。良かった、まだ越前くん来てな「遅かったね」…い…。
『え、越前くんっ!?いつの間に!?』
「玲奈が走ってきたのはバッチリ見たけど?」
『恥ずっ!私髪ボサボサじゃない?』
そう言いながら手櫛で髪を整えていると、越前くんの手が伸びてきて私の髪に触れた。
「大丈夫じゃない?気にすることないよ」
『そ、そっか…』
「早く始めようよ、デート」
『うん』
なんか越前くん、前と違う気がする。なんていうかかっこいい?いや、大人っぽいっていうのかな?
よくわかんないけど、そんな気がした。
「で、どこ行くの?」
『あ、考えてなかった』
「デートしてって言ったの玲奈でしょ、どっかないの?行きたい場所」
『そんなこと言われても、デートってどこ行けばいいのかわかんないし…』
「…あんた、デートしたことないの?」
『これが初デートですけど、なにか?』
越前くんが馬鹿にしたように言ってくるから、私もつい言い返してしまった。
「へぇ、初デートの相手が俺で良かったわけ?」
『ていうか、ぶっちゃけ誰でも良かったんだよね』
「は?」
『周りの友達がデートが楽しいってはしゃいでたから、一回してみたかったの』
私がそう言うと、越前くんはなぜかため息をついた。
え、私なんか変なこといった?
「あんた、デートってなんだと思ってんの?」
『えと、男の子と一緒に遊ぶ…こと?』
「違う!デートっていうのは恋人が出かけたりすること。ただ遊ぶのとは違うんだよ」
し、知らなかった!
今まで恋愛どころか彼氏っていう存在自体どうでも良かった私には、そんな知識全くなかった。
だから興味本意でしてみたかっただけなのだ。
『うわ、私やっちゃった?』
「うん」
『ごめん、私なにも知らなくて…』
「別に気にしてないし」
『でもやっぱりごめ「ていうかさ」
「俺、映画見たいんだけど」
そう言ってくれたのはきっと越前くんなりの優しさで、私は少し嬉しかった。
((てかさっきから視線が…))
(ん?どうかした?)
(いや、なんでもない)