連載

□『……うん?いやちょっと待て』
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柚原玲奈、16歳。
ただいまめちゃくちゃピンチです!



「ねぇいいじゃん、遊ぼーよ?」

「カラオケ行く?」



なぜこんなナルシストみたいな男共に絡まれにゃならんのだ。私はただ家に帰ろうとしただけなのに!



『いや、私急いでるんで…』

「ちょっとだけだからさ!ね?」

『ちょ、離してください!』



1人の男に腕を掴まれた瞬間、肩にかけてあった袋からラケットを取り出し思いきり男の腕にぶつけた。



「痛っ!テメェ、俺たちが大人しくしてるからって調子に乗りやがって!」

『アンタたちが悪いんでしょ!?』

「クソっ、血ぃ出てんじゃねぇかよ!」

「慰謝料払えよ!」



まじうぜー!なに被害者ぶってるんですか!?被害者私なんだけど!



「っ、このアマ…!」



私が男たちをキッと睨むと、男はカチンときたのか私を殴ろうとしてきた。



『…っ、』



次にくるであろう痛みを耐えるため、私は咄嗟に目をつぶった。



『………』



目をつぶって数秒、痛みは全くこない。私は不思議に思いソッと目を開けた。



『…………え、』



そこは全く知らない、路地裏だった。



『……うん?いやちょっと待て』



どこだここ。私さっきまで路地裏なんかじゃなくて家の近くの交差点にいたはずなんだけど。



『…とりあえず、出よ』



埃っぽい路地裏にいるのは結構キツい。空気汚いし制服汚れるし。

私はカニ歩きで路地裏を出た。



『………』



出たのはいい。だけど、ここどこだ?周りには見たことのないビルやお店があるけど、私が住んでいるところはかなりの田舎だ。こんなでかいビルやお店はない。



『私、どうしたの…?』



わけがわからない。変な男たちに絡まれラケットをぶつけて殴られそうになって…



『…あ、ラケット!』



私はハッと思い出し、自分の肩を見た。そこにはちゃんとラケットケースにはいってあるラケットが。



『良かった〜、これなくしたらどうしようかと思った…』

「なぁ、自分さっきからなにしてんねん?」

『ふぁ?』



いきなり横から声をかけられそちらをみると、メガネをかけた長髪の男が立っていた。



「自分が路地裏から出てきよったとこから見とってんけど、自分路地裏なんかでなにしとったん?」

『えと、私もわかんない』

「は?」



男はポカンと口を開け驚いている。
そりゃそうだよね、路地裏にいたのに自分でもなにしてたのかわかんないだなんて。


「あんなぁ、そないな嘘すぐバレるで?つくんやったらもっとマシなのにしぃや」

『ちょ、私嘘なんか言ってない!』

「何言うてんねん。自分がさっきまで何しとったかわからんわけないやろ?」

『それは、そうだけど…』



…私なんで、こんな初対面の男に説教じみたことされてんの?



「侑士、置いてくなよな!」



そう言って赤い髪の、すごい髪型の男の子が駆け寄ってきた。



「堪忍な岳人。めっちゃ可愛い子がおったさかい、ついナンパしてもうてん」

「可愛い子ぉ?」

『な、なんですか…』

「確かに可愛いけど、侑士のタイプじゃねぇだろ?」

「タイプやのぅても、可愛い子とはお近づきになりたいもんやろ?」

「そんなもんかぁ?」



…なんなんだこの2人は。
いきなり声かけてきて、自分たちだけ勝手に話進めて。
私はただでさえ知らない場所にきて不安だっていうのに。



「つか侑士、もう7時だぜ?」

「もうそんな時間かいな。ほな、そろそろ帰らなあかんな。…自分もはよ帰りや」

『あ…、待って!』



歩き出した2人を、私は思わず引き止めた。



「なんだよ、なんか用か?」

『…あの、ここってどこですか?』

「「は?」」





(ちょ、自分頭大丈夫か?)
(変なもんでも食ったんだろ)
(私の頭はいたって正常ですが?)


 
 

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