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□なぁ、
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―…ザクッ

一人。



―…ザクッ

二人。

―…ザクッ

三人。


―……

無限に俺は殺し続けた。
何人も何人も。


赤く染まる視界がパッ、と明るくなる。


―――――…夢か。

僕はのそりと起き上がった。

「…あれは、もう一人の僕の夢…?」

疑問に思いながらも僕は薬を飲んだ。
散歩に行こうかな、と思いドアを開けたら、目の前にスプレンディドさんが立っていた。


「あ、おはようございます、スプレンディドさん」

「やぁ、フリッピー君。遊びに来たよ!」

ヒーローが遊んでていいのかな、と思ったが、僕は聞かない事にした。


「はい、どうぞ上がってください」


微笑みながら家に招き入れると、スプレンディドさんはこう言った。


「ありがとう。でも、僕が会いたい人は君じゃないんだ」


そう言うとスプレンディドさんは僕の目の前にナイフをつきだした。

「…っう…!」

その瞬間僕の意識は無くなった―…。




「……やぁ、覚醒君」


「…なんでわざわざ呼んだんだ。」


今日は気分が悪い。
頭がくらくらするし、殺気もおきない。
それがスプレンディドにはお見通しのようだ。



「…風邪、ひいてるだろう?」


そう言うとスプレンディドは俺を抱えた。

ベッドに連れていかれた俺は、横になりスプレンディドを見つめていた。


「なんで、わかったんだ?」


俺は冷えピタを持ってきたスプレンディドに尋ねた。


「昨日、一緒に散歩してただろう?
その時、ランピー君が水まきをしていて、水をかぶったじゃないか。」


あぁ、と俺は納得する。


「その後君はやたらとフラフラしていたし、心配で今日、朝来てみたら、顔色が悪かったからね。」


するとスプレンディドは俺の額に冷えピタを貼った。


「ひゃっ………!」


冷たい。ひたすら冷たい。
だがすぐに慣れてしまう。


「…大丈夫かい?」

「……あぁ」


熱のせいで涙目になっていた俺のまぶたに、スプレンディドは優しくキスを落とす。


「…今日は1日中、一緒にいるからね?」

スプレンディドは微笑み俺を抱きしめた。




…なんで、こんな俺に優しくしてくれるんだ。



人を殺す事しかできない俺に、優しくするんだ。



愛された事のない俺を、なんでそんなに好きになるんだ。










なぁ、もっと俺を愛してくれよ









<なぁ、>


end.

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