小説 宝物
□えびす様から
1ページ/1ページ
『自惚れないでね。』
鈍い音がして、スペードは痛みに顔を歪めた。
蹴られたお腹をおさえ、苦しそうに息をする。
「どう?俺らのものになる気になったか??」
「答えろよ、スペード。」
ジョーカーはスペードの綺麗な頬をそっと撫でた。
「自惚れないでよ2人とも。僕がそんな軽い奴だと思うの??」
強気な笑みを浮かべ、スペードはジョーカーの顔に口に溜まった血を吐いた。
「思ってないからこうやって監禁してんだよ。わかるか?」
「要するに僕が魅力的ってことだね。」
おどけたようにこたえれば、シャドウに、きつく腹を蹴られる。
「ほんっと、最っ低…。」
「最低で結構。」
シャドウはスペードの頬に軽くキスをする。
「わけわかんない。君達本当何がしたいの!?」
「だから、スペードがほしいんだってば!」
ジョーカーがニコリと笑い、スペードの髪を優しく撫でた。
「ならさっさと犯すなりなんなりしちゃえばいいんだよ!!こんなところに何日も監禁して頭おかしいよ!!」
いつの間にかスペードの顔から笑みは消え、目に涙をためていた。
「体奪っちまうのは簡単だけどよ」
「俺たちはスペードの全部がほしいんだぜっ??」
「俺達しか見えなくなるように、痛みによる調教なんだ。」
「気持ちいいことしても、調教になんないだろ??」
ジョーカーがスペードの右手を、シャドウが左手を優しく握った。
「こうやって監禁しとけば、スペードの前には、俺達しかいなくなる。」
「……」
「 そうすれば、スペードも俺達を好きになるしかないだろ??」
「犯罪だ。」
「「それは今更…」」
「だよねー…。」
「だから、な、俺達を見て?」
「…そんなの、偽りにすぎないよ…」
今までにない位、かなしそうな表情で、スペードは言った。
「そんな顔するなよ。」
「偽りの心でもほしいと思うんだ?」
「偽りかどうかなんか、誰にもわからないぞ。」
ジョーカーが優しく言うと、スペードはポロポロと涙をこぼした。
「どうしたんだよ??」
力無さげに首を横にふり、ジョーカーを見た。
「君達なんて、大っ嫌いだ。」
スペードはジョーカーに体を預け、目を閉じた。
−ずっと前から君達の事を好きだったのに…
ぼろぼろに傷ついた腕をジョーカーの首にまわして、そっと抱き締めた。
「どうしたんだよ??」
「好きになってあげようじゃないか。君達の気がすむまで、調教なりなんなりすればいいんだ。」
そういって、また笑みを見せた。
2人は嬉しそうに笑って、スペードの髪にキスをした。
「だけど、自惚れないでね。もし僕が君達を好きになったとしても、それは所詮偽りなんだから。」
−こんな形でしか愛を伝えられないなんて。本当に最低な人間だ。
2人に、そして自分に向けて、スペードは言葉を放った。
おしまい。
えびす様素敵すぎる小説ありがとうございます!!
みんなの会話がまた可愛い(>ω<*)♪
これからよろしくお願いします(≧∇≦)