krk 短編集

□ベガ
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「真太郎くん?」
あたしが話しかけると何かを思い出したように静かに夜空を見上げる真太郎くん。

「今日は…」
「…?」
「いや、なんでもない。」


同じように空を見上げると星が光っていた。
都会で見る星は数が少ない。


「綺麗だね、星。」
「…あぁ。」

今日は、七夕。
真太郎くんと七夕祭りに行きたかったななんて、部活あることも忘れて昨日は少しはしゃいでいた。


そして電話で誘ってみたものの今まで部活があり、いけなかった。



「ねぇ、お願いするならなんて願う?」
「…願っても仕方ないだろう。」



「そうだよね。」



でもほんとに綺麗だな。


「見てみて!あれって織姫様じゃない?」
「そうだな。そしてあれが彦星なのだよ。」



「真太郎くん…。」
「なんだ?」




忘れたわけじゃなくて、今日本当に会いたかったのは…




「お誕生日、おめでとう。」


星柄の包み紙に包まれた小さな箱を渡す。



「覚えていたのか。すまない、ありがとう。」





あなたが生まれた大切な日だから。

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