有と無の記憶〜歴史を変える冒険〜

□旅の二人は伝説の探検隊に出会う
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こんなに簡単にマジカルズに会えるとは思っていなかった。
クレイはいまいち状況を理解できていないまま、ギルドの門をくぐり、一つの小部屋に呼ばれた。
「……で?なんで私たちに会いに来たんだ?」
ポッチャマ―おそらくマリンなのだろう―が聞いてきた。
「ちょ、ちょっと待って下さい。僕状況が理解できなくて…」
「私も、私もー」ミラが横から同意してくる。
「えっと、あなた達がマジカルズなんですよね。」
「うん。」チコリータ―おそらくカレン―が答える。
「で、この部屋はあなた方の部屋なんですね?」
「……うん。」今度はマリン。
「はいはーい、理解しました。じゃ、こっちの用件聞いてもらえる?」
「ミラッ、敬語…」
「…いいよ、タメで。」
クレイはミラに注意しようとしたが、マリンにさえぎられた。
「マリンって、元人間なんでしょ?」
「……う。」
いままでよりも短い返事にクレイはすこし驚いた。
「人間がポケモンになる現象って…どうして起こるのか知ってる?」
「…いや?わからないけど……どうしてそんなこと聞くんだ?」
「私は……人間だったの。」
いきなり告白したっ!?とクレイは突っこもうとしたが、ミラが真剣な表情になっているのを見てやめた。
「…人間だった?」
「キザキの森で目が覚めて、覚えてたのは自分の…ミラ、という名前と、元は人間だったということだけだった。そうやってここにいるクレイに言ったら、
同じ境遇のマリンというポケモンがいるって教えてもらったから、ここに来たの。」
「…ミラ、クレイ…という名前なのか。」
「うん。それで、人間がポケモンになったら何かが起こるかもしれない?」
「……何かの理由がなければ、人間がポケモンになるなんて事が起こるはずはない。
だから自然に起こる現象ではないけれど、ミラ、お前が何かをするためこの世界に来たのなら、おかしくないはず。
そしてそれなら、お前には何かするべきことがある。私が星の停止を止めたように。
何をしに来たのかはわからないけれど、それなら何かが起こるはずだ。」
「星の停止みたいに大きな出来事なのか、小さな揉め事なのかはわからないけどね。」黙っていたカレンが言った。
「じゃあ、どうすればいい?」
「探検隊になったほうがいいと思う。」
カレンの即答に我慢できなくなって、クレイは口を挟んだ。
「ちょっと待って下さい。ミラが何か事情があってここに来たのかもしれないって事は分かりました。でもそれがどうして探検隊になる事に繋がるんですか?」
「探検隊になっておけば何か起きた時にすぐ行動できるし、それにそのための修行も日頃からできるから。」
「探検隊になる?」
ミラが目を輝かせて言う。
「それ、面白そう!クレイ、やろうよっ!!」
「えっ!?ぼ、僕はやだよ!どうして僕が!?」
「だってクレイ、自分で言ったじゃん。僕とカレンさんは同じような境遇だって。」
「でも僕は探検隊なんてやりたくないし、一人でなればいいだろ!?」
「クレイもなった方がいいよ。」
「カレンさんまで!どうしてですか!?」
「ミラ一人じゃ、耐えられる修行も耐えられないから。」
「なんでっ!!」
「じゃ、決定ね。」
「勝手に決めないで下さい!」
「クレイ……どうしても、駄目?」ミラが今までより少し元気の無い声で言う。
「うっ………ああもう。そこまで言うなら、……分かったよ、なるよ。」
クレイはげんなりして言った。
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