有と無の記憶〜歴史を変える冒険〜

□旅の二人は伝説の探検隊に出会う
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三日ぶりのトレジャータウン。なんだか少し変わった気がする。
「ほら、ギルドが見えてきたよ。」パートナーが言う。
「…う。」
気の無い返事をすると、パートナーはあきれたようにため息をついて、
「もう。あなたはいつもそうなんだから。もっとちゃんと返事してよ。ね、マリン。」
そう。彼女はマリン。しかしマリンは隣にいるこのパートナー、カレンにきちんと返事をした事がない。
「……う。」
「また『う』だけ。まったく。」
「カレン、ギルドの前に誰かいる。」
「…え?」
カレンがギルドの前の見張り穴を見るのを確認して、マリンは駆け出した。
「あ、ちょ、待っ……マリンーッ!!」
追いかけてくるカレンを無視して、見張り穴の上に立つポケモンの後ろに立った。
「……おい。」
「うぇっ!?」
奇妙な悲鳴をあげたそのポケモン―ピカチュウが振り返った。
「だだだ誰!?」
「……ギルドに用?」
「…あぁびっくりした。ギルドの人?」
「……うん。」
するとそれまで黙っていた、おそらくピカチュウの仲間であろうロコンがマリンのさきほどの問いに答える。
「僕達、ある探検隊に会いに来たんです。」
はぁ、はぁと後ろから声が聞こえる。カレンが追いついてきたのだろう。
ロコンが驚いたような顔になっている。
「もしかして…あなた達がマジカルズなんですか?」
「……うん。」
「あのー…お取り込み中のようですが…」
見張り穴から声が聞こえる。
「足型はピカチュウ!足型はピカチュウ!ちなみにマリンさんの声もします!」
「よし!入れ!」
ギルドの門が開く。
「…誰だか知らないけど、とりあえずギルドに入ろ?」
後ろでカレンが息を切らしながら言った。
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