短い御話

□空に届け!
1ページ/2ページ




「空綺麗だねー。愛しの財前君。」


昼休み。
屋上で空を見上げる財前を見つけて横まで小走りに近寄っていき声をかける。

でも財前は視線をチラリとこっちに向けるだけで何も返事をしなかった。



最近わかった事なんだけど



「財前ってツンデレだよねー。」

「はぁ?」


今度は反応してくれたが眉間に皺がより
いつもの倍は険悪な顔にだった。


でも私は変なこと言ってない。







私は少し前に東京からこっちに引っ越してきた。

言葉とかやっぱり慣れなくて
私がパチもんの関西弁を使うのもなぁんか恥ずかしかったりして



そこそこ話したりはしても

そこには壁があって

やっぱり寂しさがあった。


そんな時に、だ。

財前が声をかけてくれたんだ。


無愛想な人だなぁとか思ってたけど
ただ単に誰にでも愛想振りまく人間より
全然暖かかった。

一匹狼的な雰囲気醸し出してるくせになにげ優しいとことか凄く好きだった。



ニマニマしながら財前の顔を覗けば
ため息をはきながら目をそらされた。


「お前と居ると疲れるんやけど…。」

「うん。」

「お前みたいな暑苦しい奴苦手なんやけど。」

「…うん。」

「俺に懐いてるみたいだけど何処がいいん?」

「優しいとこー!」

「…。」


本人は自覚が無いのか更にげんなりとした表情になった。


「だってさっきも私の事“嫌い”じゃなくて“苦手”っていったでしょ。」

「…それが優しさに繋がるんか。おめでたい頭やな。」


財前わかってない。
わかってないよ。


「私が財前のこと好きなのしってて“嫌い”じゃなくて“苦手”って言ってくれたんでしょ?」

「…考えすぎや。」


まぁ私は財前に嫌いとか言われたくらいじゃショック受けないけどねー。



そう言って笑えば


財前も小さく笑って



じゃあ、嫌い。


と呟く。





あぁ、

貴方は気付いてないでしょう。


その小さな笑みが


どこの誰よりも


優しい暖かさがある事を。






暖かな光が僕らを包む昼下がり。

もし神様が願いを叶えてくださるならば

この幸せを、永遠に。




空に届け!
僕らの幸せ天高く!!




!FIN!

→あとがき

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ