Northern lights

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 キラはシオンと共に救命ボートを拾って帰ってくるやいなやその処遇を巡ってデッキで揉めていた。

「認められないってどういうことです!? 推進部が壊れて漂流してたんです。それをまた、このまま放り出せとでも言うんですか? 避難したヘリオポリスの人たちが乗っているんですよ?!」

『すぐに救援艦がくる!』
 頑なに受け入れを渋る女性士官の声は冷たい。
  
『・・・いいわ。許可します』
『本艦はまだ戦闘中です!避難民の受け入れなど』

 ため息をついてマリューが許可を出すと、隣にいた女性士官がキッと睨んだ。 
  
(・・・連合は民間人の人命などどうでもいいらしいな。俺がいる前でよくもまぁこんなセリフを言えるな)

 モニター越しにその会話を聞いていたシオンはその整った顔を渋面に歪めた。

『壊れていては仕方がないでしょう? 今はそんなことで揉めて時間を取りたくないの』
『ですが!!・・・・』

 女性士官が更に口を開こうとすると同時にアークエンジェルのエアーロックが開き、二機と救命艇が発着デッキへと導かれた。
 ストライクが格納庫に入るとエアーロックが閉まる。傍には被弾したモビルアーマーが収容されていた。
 ストライクのハッチが開きキラが降りてくると、クルーが口々にざわめきを漏らした。

「おいおい、なんだってんだぁ? 子供じゃねぇか。こんな坊主がアレに乗ってたってぇのか?」
 整備士がみんなの意見を代弁するように言い放った。 
 ストライクの着艦を聞いた友人たちがキラに飛びついた。

「よかったぁ、キラ」
「無事だったんだな」
 トールに抱きつかれ、サイに頭をグシャグシャにかき回されつつもキラは笑った。
 その様子をモニター越しに見守っていたシオンはアマテラスのハッチを開き、下へと降りていった。

「サイ!」
 救命艇から出てきた紅い髪の少女がサイの胸に飛び込んだ。突然のことに驚いたサイだったが、すぐに嬉しそうに少女を抱きしめた。

「へぇ、こいつは驚いた」
 愛想の良さそうな笑みを浮かべ一人の青年軍人がキラの傍に近づいてきた。
「君、コーディネイターだろ?」

(――――!!この状況でなんてことを)

「・・・はい」 
 青年の言葉に周囲の空気が凍り付いた。 
 キラの肯定の返事に艦橋から降りてきたマリューの背後に控えていた兵士たちが一斉に銃を構えた。
 ちっ、と舌打ちしてシオンはキラを護るために走り出した。
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