Northern lights

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『キラ君、聞こえるか? 聞こえていたら返事をしてくれ。キラ君!』

 シオンは通信機を通してストライクへ発信を続けた。周辺にはバラバラに四散したヘリオポリスの残骸が漂っている。

『キラ君!!』
『――――シオン・・・さん?』

 何度目かの呼びかけの後、呆然として自分を呼ぶキラの声が返ってきた。ほっと安堵のため息を漏らす。

『大丈夫か?』
『・・・は、い。でもヘリオポリスが・・・・』
『解ってる。だが、こうしていてもなんの解決にもならない。こっちと違ってストライクのエネルギー残量も気になる。どうにかしないと・・・・』

 その時、キラの通信機に通信が入ってきた。

『X105ストライク&キこえているか?応答せよ!聞こえていたら・・・無事なら応答しなさい。キラ・ヤマト!』
『どうかしたのか? キラ君』
『えっと、連合の軍人から通信が・・・・出たほうがいいですよね?』

(連合の士官か・・・・残ったストライクまでザフトに渡ったのではないかと気が気じゃないということか)
 
 困惑がキラの声に混じっている。無理もない。ホンの数時間前までは戦争とは無縁の中立コロニーで生活する唯の学生だったのだから。
 それが突然戦争に巻き込まれ、目の前でヘリオポリスが――自分たちの生活空間が崩壊したのだ。戸惑わないほうがどうかしているのだ。
 シオンはキラに通信に出るように促した。

『・・・・はい、こちら・・・・キラです』
『無事なのね?』
  
 シオンに促されたキラが通信に出ると相手に安堵の声が滲んだ。

『こちらの位置は解る? 帰投できるかしら』
『はい・・・あ、あの! 一緒に帰投したい人がいるんです。いいですか?』
『だれか一緒にいるの?―――ザフト?』
『・・・・!? 違います!! シオンさんは―――』
『ストップ、そこまで。ありがとうキラ君。ここから先は自分で自己紹介するよ』
 シオンをザフト扱いするマリューにキラは声を荒げ、それを聞いたシオンは両者の通信に割って入った。

『あなたは?』
 突然通信に割り込んできた声にマリューは不振げに聞き返したが、返ってきた肩書きに一瞬声を失った。

『私はオーブ連合首長国代表代理、シオン・フィーリア。今回の我が国のコロニー内における戦闘及び崩壊に関する明確な説明を貴艦の最高責任者に要求する。それゆえ一時貴艦に着艦許可をいただきたい』

 暗にこれから乗り込むから覚悟しておけ≠ニ言われたマリューはそれでも立場上拒否もできず、シオンの着艦を許可した。
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