Northern lights

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「なぜ、あんなことを言った?!」
 キラがガルシアたちに連行されて行くと、シオンは押し殺した声で口を開いた。 
 フレイはなにを言われているのか解らないというように『なにが?』と答える。
 その態度がまたシオンの怒りに火をつけた。
「キラ君がどうなるのか考えなかったのか? 何の為に私がパイロットだと名乗り出たと思っている。それを君は・・・・君の一言が彼を危険にさらしたんだぞ!」
「なんで私が怒られなきゃならないのよ! だって、ここ味方の基地なんでしょう? パイロットが誰かなんて言っちゃえばいいじゃない。なんでいけないの!?」
 さも心外だという表情のフレイに、必死に怒りを抑えるシオン。ラスティとミゲルも嫌悪感丸出しの表情でフレイを見ている。
「―――連合が誰と戦っているのかよく考えろ」
 シオンは止めようとするユーラシアの兵士を殴り倒し、踵を返して医務室へと戻っていった。その後を追うようにラスティとミゲルも続いた。



「最っ低だな、あの女!」
 医務室に戻るやいなや、ラスティはフレイをなじった。ミゲルもシオンが無言でいるのを気にしながらも、フレイの言動を批判する。
 2人の言い合いを尻目にシオンは連行されたキラのことを案じていた。その時、大きな揺れが医務室を襲った。
「この振動は――――!!」
 シオンが顔を上げた。
「間違いないぜ、これは爆発による振動だ」
 ミゲルとラスティが顔を合わせる。 

 アルテミスの傘―――それはビームも実弾も通さない難攻不落ともいわれる絶対防衛兵器。
 ガルシアたちはアルテミスを盲目的に安全だと思い込んでいるようだが、シオンから見れば攻略は簡単だ。もし自分がザフトでアマテラスが使えれば、こんな基地など、ものの数分で落とせるだろう。 
 だが、それはアマテラスに装備されている機能があればこその話。それ以外では確かに厄介な装置ではあるのだが―――ザフトに奪取されたXシリーズ。 
 あの中の1機にはアマテラスと同じ装備が搭載されている。もしも彼ら――ザフト――がそれに気付いたのなら・・・。

「アルテミスは落ちたな」
 シオンはポツリと呟いた。
 そして、シオンの呟き通り、外ではミラージュコロイドを展開したブリッツの活躍で、アルテミスは陥落1歩手前まで追い込まれていた。
 ソードストライカーを換装したストライクが時間を稼ぎ、その間にアークエンジェルが緊急発進する。

 傘を失ったアルテミスなど紅を纏った彼らに敵うはずもなく―――バスターから発射されたランチャーの一撃で凄まじい爆炎が上がった。 
 その姿はまるで宙に咲く大輪の火花のようだった。
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