兄さん誕生日その2

□ストレス
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「…はぁ」


鳥がちーちーと喧しく鳴り響き、葉と葉の間から陽射しがちらちらと差し込む森の中。料理人は重いため息を漏らしていた。やはり引っ掛かる船のこと。だいぶ進んでもちらっと船を見遣りため息ついて、またため息漏らすを繰り返す。


「なにやったかなぁ、おれ」


再会してしばらく。自分は何を彼等にしただろうか。料理人は物憂げな表情で思い返す。鼻血を繰り返し吹き出して迷惑をかけたことを根に持っているのだろうか。いやいや、そんなことを根に持つ一味ではないはずだ。なら他に、一体何を。何か彼等が迷惑がることをしてしまったのだろうか。


「あぁ、わかんねぇ…!」


悩んだように両手で頭をぐしゃぐしゃかく度、眼鏡が揺れた。奥に行く度に、先程まで森に差し込んでいた陽射しが奇妙にだんだん薄らいでいき、巨大な影が出来上がった。だが、すっかり物思いに耽る料理人は、そのことに気づかなかった。


――――


「…大変」


図書館でこの島に関する雑誌を読んでいた考古学者が、さっと表情を青ざめさせた。本を抱え、キッチンに駆けていけば、料理人を除く一味が全員集結していた。


「ロビン、あったのか?」


「おれ達もう準備出来たぞ!」


彼等の言葉に考古学者は反応しなかった。顔を青ざめさせたまま、考古学者は航海士の方を見遣る。


「…ナミ。今すぐ連絡をとってくれる?コックさんに!」


「え?えぇ…」


「な、なんだよ、ロビン。この島、まさか…危ない島なのか?」


狙撃手が震えた口調で尋ねれば、考古学者は文献を握り俯いて頷いた。狙撃手だけでなく、一味の表情もさっと曇る。


「えぇ。この島は…!?」


ドゥン!!


大砲のような音が一つ響いて、サニー号が揺れた。一味が顔を見合わせて頷き合い、剣士と音楽家が外に飛び出す。


「…こんなときに」


陽射しが雲で薄らいだ空の下。巨大な船が迫って見えた。


―――
ストレス。


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