兄さん誕生日その2
□崩壊
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船医と狙撃手と考古学者が心配そうに電伝虫を見つめている一方船大工と航海士が外に出ると、豪快に崩壊していた。崩れた海賊船、容赦なく倒された海賊達。
『まったく派手に壊したわね、あいつら』
『仕方ねぇさ…ん?』
船大工は壊れた船を漁りはじめた。一つだけ斬られ崩れていない部屋がある。固い鉄や石の壁に覆われていて、転がった大きな電伝虫と、男が一人横たわっているのが見えた。
『おい』
『牢かしら』
『…多分な。気絶してやがる。頭でも打ったか』
航海士が牢の鍵を開けて、船大工が男を抱えあげて揺らせば、男はうっと苦しげなうめき声をあげた。船大工と航海士ははっと息を呑む。
『おい、しっかりし…』
『ごめ…ん…』
『あん…?』
『ごめんよ、母ちゃん…』
うめき声をあげ、気を失った男。航海士と船大工は思わず顔を見合わせた。
――
「誰なんだ?」
「さぁ。チョッパー、2時間あれば目が覚める?」
「うん」
「じゃあ、そいつの様子も見つつ、ね」
航海士が船長の肩を叩いて、椅子に座る。船長は相変わらずじれったそうに、電伝虫と時計を交互に見つめていた。
――――
崩壊。
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