兄さん誕生日その2

□積み上げる
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「崩した方が負けだぞ」


「…望むところだ。じゃあ順番決めな」


「こーへいな審判ですー」


石を順番に積み上げようとする男達と、それを審判する音楽家。


「ロ、ロビン、よく冷静にやるわね」


「………」


黙々とトランプを積み上げる考古学者と、それをはらはらしながら見る航海士。



「スーパー積木ロボ」


「うおおおお!!!」


「すっげぇぇぇ!!!」


「すっげぇぇぇ!!」


積木で見事なロボットを作り上げた船大工、そして感動した声をあげる狙撃手と船長と船医。


……だが。


「威嚇射撃よーい!!」


ドゥンと一つ響いた大砲の音。ぐらぐらと船が激しく軋んで。


「あ」


「ああああ」


「積木ロボォ!」


積み上げておらず順番決めのじゃんけんであいこを出しつづけていた剣士と料理人はさておいて、考古学者が積み上げたトランプタワーも、船大工が作り上げた積木ロボも見事にはかなく崩れ。海軍船が大声をあげているのがわかる。


――海賊達。おとなしく出てこい!!


「………」


「ロ、ロビン?」


「おのれぇ!!積木ロボのかたきだァ!!」


「かたきだぁ!!」


「かっ、かたきだぁ!?」


「勝負の邪魔するアホはだれだぁ!!!」


「相当オロされてぇらしいなぁ…!」


航海士と狙撃手と音楽家以外、ばたばたと足音を荒々しく立てながらキッチンから出ていく。そして、伝わってきた、無線からの連絡。


――え、ちょっ、えぇ。


――積木ロボの怒りパァンチ!!


――キィーック!!


――ブロー!!


――ぎゃああああ!!!


――勝負の…。


――邪魔だぁぁ!!


――うわぁぁぁぁぁ!!!


――…。


――ぐぎぁぁぁぁぁ!!!


「…そもそも船で積み上げるような遊びするんじゃないわよ」


「…ご愁傷様です」


「なーむー」


残された三人は、そっと海軍に合唱したという。


――――
積み上げる。
半ば八つ当たりです。
 

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