兄さん誕生日その2

□反射
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「なぁんもねぇなぁ」


「デマか?」


「かもね」


太陽が映り輝く湖の前で、彼等はため息をついていた。航海士の手には立派な地図が握られていて、×印がはっきりと書いてある。


「第一、宝の地図とかいう胡散臭いもの買ってきたあんたが悪いんでしょう、ゾロ」


「買ったんじゃねぇ。もらったんだ」


「ただで?」


「ただじゃないなら文句言うだろ…いでっ」


航海士の拳が剣士に落ち、船大工がため息をついた。船長と狙撃手と船医と音楽家は何やら水辺できゃいきゃい言いながら遊んでいるし、料理人は煙草をふかしているし、考古学者は熱心に辺りの地形を調べている。


「おーい、見てみろよ、おっもしれぇ!」


船長の声が楽しそうに響く。料理人と船大工が興味深そうに近寄った。


「なんだ」


「どした」


「ほら、ぴかーっとしてるぞ!しししっ」


ん?と二人が首を傾げて下を見遣れば、途端に眩しい光を顔に当てられた。手で遮って見れば、狙撃手の手の平に小さな銀色の鏡が。


「太陽反射させて遊んでんのか」


「たーのしいですよう。ルルル太陽♪ルルル」


「ルルル♪」


「…へぇ、貸してみろよ」


「ダメだぞサンジ!順番だ!つぎはおれっ」


「わー、ルフィ、壊すなよっ」


「わかってる!」


船長が鏡を狙撃手から受け取り、残りの4人に笑顔を向けた。


「たいようびーむだっ」


「ぎゃーっ」


「まぶしいィィ!」


「タスケテー」


「浄化されるうう」


「一人冗談になってねェぞ」


他の四人が楽しげな悲鳴をあげ、船大工がツッコんだ。航海士が離れた所でため息を漏らしている。


「まったく、はしゃいじゃって…ロビン、なんかわかった?」


考古学者は頷き、航海士を手招きした。剣士は殴られた頭をさすりながら、ゆっくりと彼等の方に向かっていく。


「太陽の光が必要だとかいてあるわ」


「ホント?じゃあホントに何かあるの?」


「あるみたい」


「キャー!!ロビン素敵っ素敵っ」


航海士が考古学者に抱き着く。考古学者はくすりと笑顔を漏らした。


「でも、どうやってそれが」


「うわぁぁぁぁぁ!!!」


船長の驚いた声が上がり、考古学者と航海士がはっとそちらを振り向く。


「え」


「あら」


彼女達はぽかんと口を開けた。船長が指差す先の岩肌ががらがらと崩れ、立派な洞窟が出来上がっているではないか。


「どうしたの、これ」


「あ、あのなっ、ゾ、ゾロ星人にたいようびーむくらわせようとしてなっ」


「誰が星人だ」


「そしたら、鏡の光があの岩に当たって、光って、開いたんだ」


「…すごい偶然ね」


考古学者はゆっくりと洞窟に近づき、奥を覗き込んだ。暗闇に覆われていて、何も見えない。


「…どうする?ルフィ」


「お宝目前で、引き返したりしないわよね」


「おおお、おれは」


「戦陣切って行く?」


「いーい心掛けだ」


「ウソップカッコイイぞ!!」


「いいい!?」


「諦めろォ、こぉんな面白そうなシチュエーション」


「見逃すなんて、海賊じゃないですよ」


一味の言葉に船長はしししと笑って、深々と帽子をかぶる。静かに彼等の前に立って、腕を振り上げた。


「よぉし、行くぞっ!!」


「おォ!!」


――――
反射。盛大に何も始まらない←
 

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