兄さん誕生日その1
□フレーズ
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うちの食堂のキャッチフレーズは、『かけがえのない時間を最高の味と共に』だ。なかなかうまいキャッチフレーズだろ?
うちの食堂にはそうだな、昼時はなかなか忙しい。なんせ一人のわりにずらっと列出来るからな。ナミすわん、ロビンちゅわん、あいつら以外なら?そうだな。
レディは名前を挙げきれないくらいくるし、あんまり金がない工事現場所属のギンやら、タコ焼き屋を近くで営むハチがタコ焼きに飽きたらケイミーちゃんとパッパグを連れてやってきたり、シュシュの散歩がてら町内会長のプードルさんがカボチャ栽培が趣味のガンフォールさんとかを連れて来たりする。あとはまぁ、いろいろさ。
メニューは、凝るとキリがねぇからだいたいのメニューを決めといて、あとはリクエストしてもらって作れそうなら作るって感じかな。メニューの料金はナミさんと相談して、安くても元がとれておなかいっぱいになる価格設定にしてる。ナミさんはそういうのうまいなぁぁ!!
んで、ディナーは申し訳ねぇけど数に限りがあるし、人数もメニューも前菜から何から指定させてもらってる。
なんでかって、あいつらが、な。
あー、くそっ。言うの恥ずかしいな。
あのな。あいつらが。全員。残業とかで、遅くなったりしない時は、さ。
おれとメシ食う時間が欲しいって言うから。
だから、な。
「サンジ、おかわりっ!」
「……おかわり」
「…わたしも、もらっていい?サンジ君」
「サンジィ、このオムレツふわっふわだ。おれこんなのに憧れてたんだ。店のオムレツ固い時あるし」
「サンジ、このおにく箸できれたっ。箸で切れたぞっ!サンジっ!」
「赤ワインのソースが絶妙ね、コックさん。とてもおいしいわ」
「アウ!サンジ!今日もスゥパァァァ!なメシだ!おら、水ついでやるよ水っ」
「ヨホホホ!!サンジさぁん!私の舌を、あっ、舌ないんでした!でも、世界の中で私を一番あったかくしてくれるのはサンジさんのご飯ですよ!」
今日も騒がしく、メシが進んでく。こいつらにとって、おれとおれが作る最高のメシを食う時間は、かけがえのない時間らしい。ほら、キャッチフレーズに合った食堂だろ?アパート住人にもそう思われてんだから。
「サンジィ!今日もうまいメシ、ありがとなっ」
……いや、訂正だ。
…おれにとっても、だな。
――
フレーズ。
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