兄さん誕生日その1

□曇
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「曇り空ね」


「なんだ?曇り空イヤなのか?ロビン」


アクアリウムバーで、窓を開けた考古学者がため息を漏らせば、狙撃手がそれに反応した。今日は三人船番。料理人は昼食に従事していて、今は二人のまったりタイムだ。


「ウソップは、嫌いじゃないの?」


「ちっちっち。おれほどになると曇り空の楽しみ方があるんだ」


「楽しみ方?」


考古学者が問えば、狙撃手は得意げな声を出した。窓を開けて、どんよりとした曇り空を指差す。


「例えばさ、この後きれいな飴が振ってくるかもしれねぇし」


「雨?」


「飴。食うやつだっ」


考古学者はくすっと笑い声を漏らした。狙撃手は一瞬おどおどしたが、続けて、と促されて咳ばらいを一つ。


「もしかしたら、雲がわたがしになって降ってくるかもしれねぇ」


「チョッパーが大喜びね」


「だろ!あそこの少し黒っぽい部分はブラックチョコで大人の味なんだ」


「では、あそこの黄色い部分はオレンジ?」


「おぉ!わかってるじゃねぇか!!ナミが喜ぶぜ。で、太陽がな実はコーラキャンディで出来てるんだ」


「空はどうするの?」


「空はなー、ソーダキャンディを溶かしたやつかなぁ」


「鳥が時々つまんじゃうわね」


「だから鳥って空飛ぶようになったんだな。うまいキャンディをいっぱいたべたくなって」


「もう陸で虫をとる必要はないわね」


「そりゃ違うぞロビン!虫はあいつらにとってのご飯でキャンディがおやつなんだ!だから食わなきゃダメなんだ」


「あら、ごめんなさい」


「いいよいいよ、でさー」


どんよりとした雲をさしながら、狙撃手と考古学者の話は膨らんでいく。リフトからもれだす聞いた料理人が思わず笑い声を漏らした。


作ったショートケーキに、きれいな青とコーラ色のキャンディ、そしてオレンジ黒白のわたがしが少しずつ飾られ、リフトに乗せられて送られる。


「おやつきたぞっ」


嬉しそうな狙撃手の声。近づいてくるばたばという音と唖然とした声に料理人はまた吹き出した。


「サーンージ!!!聞いてたんならお前も参加しろぉぉぉ!!!」


嬉しそうな怒鳴り声とくすくすと笑い声が返ってきて、料理人は繰り返し笑い声を漏らした。そして、自分のケーキのお皿を持って、アクアリウムバーに降りていく。


曇りでも晴れでも雨でも飴でも、一味は幸せ。


<END>


―――
曇り。まったりとした珍しいトリオです。
 

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