兄さん誕生日2015 3
□綺麗と感じるのなら
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「なぁ、ほーせき見つけたんだけどよ」
「宝石!!!?みせなさい!!」
船長が珍しく宝石を拾ってきた。その言葉だけで航海士はすばやく反応する。なんだどうした、と他の一味も集まってきた。
「青いな」
料理人がへぇ、と呻く。航海士の手にあったのは、青色の宝石だった。きらきらと太陽の光を吸い込んで輝いている。
「なぁ、これ、きれいか?」
船長は宝石を一身に見つめている一味に問うた。一味は瞬きする。
「きれいかって、そりゃ……」
きれいだ、と言おうとしたが、彼らは首を傾げた。サファイア色の宝石。普段なら、きれいと言い張れるのに。
「そうね。宝石、なんだけど」
「きれいに見えないな……なんでだろう」
航海士と船医は首を傾げながら言葉を濁した。船大工がうーんと悩みながら、
「待てちょっと磨いたらきれいに見えるかもしれねぇぞ」
「やってみましょうか」
考古学者がそっと柔らかい布で宝石をなでる。宝石は透き通り、一層輝いた。だが、
「……見えねぇな」
「ああ」
剣士が呻き、料理人が同意する。なんだか、不気味に思えてきて、一味はぞっとした様子になった。
「どうする?これ」
「売っちゃいます?」
狙撃手が問い、音楽家が提案する。船長は宝石をひょいっと取り上げてみつめた。そしてそれをおもむろにポケットに入れる。
「んー!とりあえずもっとく!」
「だ、だいじょうぶか!?呪われたりしないか!!?」
「だいじょーぶ!なんとかなるって!」
船長はにぃっと笑いながらポケットをぽんぽんと叩いた。剣士は気に入らない、というようにポケットを見つめ、料理人も観察するようにそれを見ていた。
「ふふ」
その様子を、双眼鏡で覗き込む、ある男。
「この宝石の本当の価値を、知らないで」
歪めた笑みを浮かべ、やがて姿を暗ました。
――
続きません。長編なんかかけそうだけど←