兄さん誕生日2015 3

□風の色
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「風が変わった」


「え」


ぽかぽかと日差しが降り注ぐ中。航海士がつぶやいた言葉に、ドリンクを運んできた料理人は瞬きした。航海士は慌てたように、料理人を見やる。


「サンジ君、2分後に一雨くるわ。洗濯物いれたほうがいいかも!」


「あいあいナミさん!!ウソップ!手伝え!」


「お、おう!わかった!」


料理人はすばやく航海士にドリンクを渡し、慌ててきた狙撃手と共に洗濯物を抱え込んだ。考古学者が様子を見て扉を開けてくれる。抱え込んだまま走り出すと、一気に空が陰り始めた。


「うっひゃあ」


扉に飛び込んだと同時に雨粒が勢いよく甲板を叩き始めて、狙撃手は声をあげた。料理人はアクアリウムバーのソファーに洗濯物を置きながらふうと息をつく。


「さっすがナミすわん!」


「間に合ってよかったわ」


航海士は料理人から手渡されたジュースを啜りながら、ウィンクした。狙撃手は窓から外の大雨を見てほぇーと呻く。


「なんでナミはこんなのわかるんだ?」


「風が教えてくれるのよ。体で風の色や雰囲気を感じ取るの」


「色?」


「うん。なんとなくだけど、黒っぽかったり、ね」


「ほえー。すげぇな」


狙撃手はじぃっと窓の外を眺めながら感心した。航海士はドリンクを飲み終えると、彼の側により、ニコッと笑う。


「わ、雨入る!」


「ナミさん!?」


彼らは驚いた。航海士が扉をいきなり開けたからだ。雨粒と一緒に、強い風が入ってくる。それは航海士の髪を揺らし、濡らす。


「うん、あと30秒」


「30秒?」


「風が変わったわ」


航海士は、ウィンクした。雨粒が、勢いをなくしていく。雲が、白く戻っていく。


「太陽の、色に」


30秒後。白い雲から、一筋の光が射した。それは、雲を切り裂き、サニー号を照らしていく。彼らは思わず歓声をあげた。


「ナミさん」


「すげぇぇぇ!!」


航海士は、言った通りでしょ、とにっこり笑った。先ほどの雲や雨はすっかり消え、空はきれいな青空と輝く太陽が戻ってきていた。


――
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