兄さん誕生日2015 3

□頂上を目指す
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「え、えと、ル、ルフィ?」


「んー?」


「な、なにやってんだ!?」


ドラム島を出港してすぐ。船医は船長の元にやってきた。他の一味はとうに寝静まっているのに、船長はキッチンで何やらつまみ食いをしているようだった。


「か、か、勝手に食べたらしかられるぞ!」


「これはいいんだ!サンジが作ってくれたやつだから」


「え?」


船長はにぃっと笑って、キッチンの机に伏して眠る料理人を指さした。彼の背には覚束なくコートがかかっていて、どうやら船長が駆けたらしいことがわかった。


「ちょっと聞きたいことあってよ、メシもらいながら聞いてたんだ。でも、サンジいろいろ疲れてるみてぇだったから、すぐ寝かせたぞ!」


「そ、そうか。ナ、ナミもか?ナミもまだ?」


「ナミはちゃぁんと寝たぞ。ビビが連れてってくれたんだ。早く寝ましょって」


「ル、ルフィは?」


「ん?」


「だ、大丈夫か?」


船医は慣れていないながらも彼に近寄ってきた。そして、両手をばっと開かせる。だいぶふさがってきた傷口にほうっと息をついた。最初診たときから思っていたが、この一味は回復力が異常だ。死にかかわるような病気にかかったり、雪崩に呑まれたり、凍えるような格好で仲間を抱えながら頂上まで登ってきたり、いろいろ無茶をしているのに、もうほとんど回復を見せているのだから。


「うん、だいじょーぶ。ありがとな。チョッパー」


「ルフィも早く寝ようよ。無茶してあんなとこ登ったりして疲れただろ?」


「んー、そこでは疲れてねぇぞ!」


船長はきっぱりと言った。船医は瞬きする。


「じゃあどこで疲れたんだ!!!?」


「ええっと、ナミとサンジを死なさねぇようにするので疲れた!!」


船医はぽかんとした。船長は頷きながら言う。


「だってよ、あそこすんげぇ寒かったし、ナミはぜぇぜぇ息はいてるし、サンジは無茶して動かねぇし、おれ心配だったんだぞ!」


「じゃあ気疲れ、ってことか?」


「それだ!」


船長はびしっと指をさした。船医は納得したように頷く。この船長は自分の疲れや痛みより仲間を優先する優しい、しっかりとした船長だ。だから、一味がついてくるのかもしれない。自分も、ついてきたのかもしれない、と。


「じゃあ、寝て疲れとろう、ルフィ」


「だな!一緒に寝ようチョッパー!」


「お、おお?」


「サンジも運んで、三人で一緒のベッドだ!!」


船長は眠っている料理人を抱えて笑った。船医も顔を輝かせて頷く。


「お、おう!!おれ、あったかいぞ!!」


今日は、船医が今まで体験した中で、一番窮屈で、一番あったかいベッドになったであろう。


――
冬島は好きすぎて脳内設定多くてごめんなさい。

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