兄さん誕生日2015 3
□頂上を目指す
1ページ/1ページ
「え、えと、ル、ルフィ?」
「んー?」
「な、なにやってんだ!?」
ドラム島を出港してすぐ。船医は船長の元にやってきた。他の一味はとうに寝静まっているのに、船長はキッチンで何やらつまみ食いをしているようだった。
「か、か、勝手に食べたらしかられるぞ!」
「これはいいんだ!サンジが作ってくれたやつだから」
「え?」
船長はにぃっと笑って、キッチンの机に伏して眠る料理人を指さした。彼の背には覚束なくコートがかかっていて、どうやら船長が駆けたらしいことがわかった。
「ちょっと聞きたいことあってよ、メシもらいながら聞いてたんだ。でも、サンジいろいろ疲れてるみてぇだったから、すぐ寝かせたぞ!」
「そ、そうか。ナ、ナミもか?ナミもまだ?」
「ナミはちゃぁんと寝たぞ。ビビが連れてってくれたんだ。早く寝ましょって」
「ル、ルフィは?」
「ん?」
「だ、大丈夫か?」
船医は慣れていないながらも彼に近寄ってきた。そして、両手をばっと開かせる。だいぶふさがってきた傷口にほうっと息をついた。最初診たときから思っていたが、この一味は回復力が異常だ。死にかかわるような病気にかかったり、雪崩に呑まれたり、凍えるような格好で仲間を抱えながら頂上まで登ってきたり、いろいろ無茶をしているのに、もうほとんど回復を見せているのだから。
「うん、だいじょーぶ。ありがとな。チョッパー」
「ルフィも早く寝ようよ。無茶してあんなとこ登ったりして疲れただろ?」
「んー、そこでは疲れてねぇぞ!」
船長はきっぱりと言った。船医は瞬きする。
「じゃあどこで疲れたんだ!!!?」
「ええっと、ナミとサンジを死なさねぇようにするので疲れた!!」
船医はぽかんとした。船長は頷きながら言う。
「だってよ、あそこすんげぇ寒かったし、ナミはぜぇぜぇ息はいてるし、サンジは無茶して動かねぇし、おれ心配だったんだぞ!」
「じゃあ気疲れ、ってことか?」
「それだ!」
船長はびしっと指をさした。船医は納得したように頷く。この船長は自分の疲れや痛みより仲間を優先する優しい、しっかりとした船長だ。だから、一味がついてくるのかもしれない。自分も、ついてきたのかもしれない、と。
「じゃあ、寝て疲れとろう、ルフィ」
「だな!一緒に寝ようチョッパー!」
「お、おお?」
「サンジも運んで、三人で一緒のベッドだ!!」
船長は眠っている料理人を抱えて笑った。船医も顔を輝かせて頷く。
「お、おう!!おれ、あったかいぞ!!」
今日は、船医が今まで体験した中で、一番窮屈で、一番あったかいベッドになったであろう。
――
冬島は好きすぎて脳内設定多くてごめんなさい。