兄さん誕生日2015 3

□高貴なる者
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「高貴なるものは、こう言いました。『わたくしが姫を助けてこよう』しかし、それは部下が許しません。なぜなら、高貴なるものだからです」


考古学者がゆっくりとページをめくる。今日の船番は船医と料理人。料理人の膝の上で、船医は早く早くとせがみ、料理人にせかすな、と叱られている。


「しかし、高貴なるものはそれを押し切って、姫を助けに行きました。おしまい」


「え」


「ええええ!?」


料理人は唖然とし、船医は驚きの悲鳴をあげた。考古学者がぱたんと本を閉じたということは本当におしまいらしい。


「そ、そりゃないよロビンちゃん!」


「高貴なるものと姫はどうなったんだ!!!?」


「わからないわ。続きがないもの」


考古学者は困ったように笑った。


「これはたまたま書店のワゴンセールに置いてあったの。ぱらぱら読んでたら、売れないからって店主さんがくれたのよ」


「じゃあロビンはどうしてこれを選んで読んでくれたんだ?」


船医が問えば、考古学者はくすりと笑って、


「続きを考えてほしかったの。チョッパーとサンジに」


「え?」


「私じゃなかなかうまく、ハッピーエンドにできないから」


考古学者は悲しそうに言って本を差し出した。料理人と船医は顔を見合わせあってこくりと頷く。


「じゃあ、考えよう!」


「ロビンちゃんも一緒に!!」


本を取り、彼女の方に最後のページを見せながら、彼らは弾んだ声で言った。考古学者は驚いたような顔になったが、ふっと優しく微笑んで、うなずいた。


「……がんばるわ」


高貴なるものと姫のハッピーエンド。彼らの午後はそれを楽しげに紡いでいく貴重な時間になったようだ。


――
高貴なるものだと天竜人出てくるんですがそれは避けたかった←

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