兄さん誕生日2015 3

□歪み歪んで歪む
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「むー」


「ゆがんでるな」


「だな」


船長、剣士、料理人の三人はマッチ棒を積み上げていた。四角く組まれたそれは、絶妙なバランスを保ち、先ほどまで立派にまっすぐ伸びて行っていたのだが。上に行けばいくほど、ぐんにゃりと曲がり始めて居た。


「どうする、組みなおすか?」


「やだっ。ここまで上がったんだ!」


「じゃあ修正だ」


剣士がため息交じりにマッチ棒を重ねた。ぐら、と揺れたマッチ棒はぴたと止まった。次に料理人がその上にまたマッチ棒を乗せる。今度は何とか揺れずに乗った。


「よし、じゃあいくぞ!」


船長が気合を入れてマッチ棒を乗せた時。


「麦わらの一味!首はいただい」


ばたんと大きな音を立ててキッチンのドアが開く。一陣の風をキッチンに吹き込ませながら、一人の賞金稼ぎが飛び込んできた。


「あ」


「あああ」


剣士と料理人があがっと口を開けた。ばらばらとマッチ棒が床に散る。組立てそこなった船長は唖然とそこにたたずむのみ。


「ふん、わなないて声も」


賞金稼ぎは自分に怯えたとみて自慢げな声をあげた。だが、わなわなと震える三人を見て、ひぃっと悲鳴をあげた。


「おまえ」


「覚悟は」


「できてんだろうなぁぁ!!!!!」


「ひぎゃあああああああああ!!!!!」


三人の怒りと共に賞金稼ぎは外に吹き飛んだ。
あとには床に散らばったマッチ棒と、ため息の三人しか残らなかったという。


――
お喋り以外で彼らはどんな暇つぶししてるのか。

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