兄さん誕生日2015 3
□歪み歪んで歪む
1ページ/1ページ
「むー」
「ゆがんでるな」
「だな」
船長、剣士、料理人の三人はマッチ棒を積み上げていた。四角く組まれたそれは、絶妙なバランスを保ち、先ほどまで立派にまっすぐ伸びて行っていたのだが。上に行けばいくほど、ぐんにゃりと曲がり始めて居た。
「どうする、組みなおすか?」
「やだっ。ここまで上がったんだ!」
「じゃあ修正だ」
剣士がため息交じりにマッチ棒を重ねた。ぐら、と揺れたマッチ棒はぴたと止まった。次に料理人がその上にまたマッチ棒を乗せる。今度は何とか揺れずに乗った。
「よし、じゃあいくぞ!」
船長が気合を入れてマッチ棒を乗せた時。
「麦わらの一味!首はいただい」
ばたんと大きな音を立ててキッチンのドアが開く。一陣の風をキッチンに吹き込ませながら、一人の賞金稼ぎが飛び込んできた。
「あ」
「あああ」
剣士と料理人があがっと口を開けた。ばらばらとマッチ棒が床に散る。組立てそこなった船長は唖然とそこにたたずむのみ。
「ふん、わなないて声も」
賞金稼ぎは自分に怯えたとみて自慢げな声をあげた。だが、わなわなと震える三人を見て、ひぃっと悲鳴をあげた。
「おまえ」
「覚悟は」
「できてんだろうなぁぁ!!!!!」
「ひぎゃあああああああああ!!!!!」
三人の怒りと共に賞金稼ぎは外に吹き飛んだ。
あとには床に散らばったマッチ棒と、ため息の三人しか残らなかったという。
――
お喋り以外で彼らはどんな暇つぶししてるのか。