兄さん誕生日2015

□妥協はしない
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「おいおいあきらめろって」


「言ってやるな。無駄なんだから」


まわりの罵声が飛ぶ中、狙撃手は必死で何かを探していた。がさがさとごみの山が揺れている。


「もういいよおにいちゃ」


側には、涙をこらえている様子の少女が震えながら首を振っていた。手に何かを抱えるポーズをしているが、その手の中には何もない。


「そうだ。諦めな!古びた人形なんかな!」


「おれ達にぶつかったのが悪いんだよ!!」


まわりの男共はにたにた笑っていた。どうやら、少女がたまたまがらの悪い男たちにぶつかってしまい、大切に抱えていた人形をごみ山の中に埋めたのを狙撃手は見ていたようだ。そして震えながら飛び出して、彼らにケンカを売るでなく探し始めたらしい。


「よくねぇ!!大事なもんだったら、妥協すんな」


狙撃手はなおもごみをほじくる。男たちは意地悪く深くに埋めたようだ。


「へぇ、言うねぇ」


「じゃあ手伝ってやろうか」


男たちはさらに意地悪く笑い、鉄パイプやらを取り出した。少女はひっと身を竦めたが、狙撃手はごみをかき回すのをやめない。男たちは苛立ち、鉄パイプを振り上げたが。


「そうそう、その通りだレディ」


それは、静かに足で止められた。


「かっこいいじゃない、ウソップ」


狙撃手の汚れた手の隣に、別の手が加わった。


「帰ってこねぇと思ってみりゃ」


呆れたように、刀ががらの悪い男たちに向けられる。


「ししし、手伝うぞっ!」


笑い声と一緒に、拳の音が響いた。


「お前ら……!」


狙撃手は一瞬顔をあげて涙を浮かべかけたが、少女がじぃっとみていることに気づいて首を振った。


そして、ごみを慌てるようにあさり、あ、と嬉しそうな声をあげる。


「あったあああああ!!」


「お」


「ふふ」


「ふん」


「ししし」


嬉しそうに人形をかきだすと同時に、少女の目からうれし涙がこぼれ、一味の笑い声と男たちが悲鳴をあげながら立ち去る声が響いた。


――
ウソップンは大切なものを分かる人間だと思う。

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