兄さん誕生日2015
□ぷにぷにの肉球
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あの肉球、ただぷにぷにしてるだけかと思ったら、さすが七武海。ものすげぇ奴だった。マリモがあんだけダメージ残すなんて、今までなかった。しかも、あいつがまだ眠り続けて起きねぇことも、今までなかった。
「サンジ?」
ルフィが、首を傾げながら話しかけてくる。おれははっとなった。いつの間にか、マリモのベッドの側でぼうっとしてたようだ。
「あ、わり。なんだ、腹減ったか」
「んーん」
ルフィはおれをじぃっと覗き込んできた。
「サンジ、なんか疲れてるだろ」
「あ?」
「なんか、へんだ!」
ルフィはむすっとしながら言った。おれは、あのことを言うわけにはいかねぇと思った。いくら船長だからって、傷つけることも恩を着せることもマリモは望んじゃいねぇだろう。だから、
「そうだな」
素直にあいつの考えを受けとりゃ、
「疲れてるかも、しれねぇ」
あいつは納得して、くれるだろう。
「むー」
だが、ルフィはまだ納得できなさそうだった。どかっとおれの隣に椅子をもってきて座る。
「サンジもちょっと寝るか」
「なんで」
「疲れてる中で頭働かせたら、しんどくなるからだっ」
こいつはやっぱり、なんか感じ取ってるんだと思う。だから、おれを執拗に心配してくる。おれが、悩み過ぎてぶっ倒れねぇか、しんぱいしてるんだと思う。
「……わりぃな、なんか」
「わるくねぇ!サンジもゾロも、ゆっくり休むんだっ!!」
「……お前もだろ」
「おれはお前らみてるからいーんだ!」
「そうかい」
とりあえず今は。あの肉球のことは忘れて、船長命令に従おうか。そう素直になっちまうくらい、おれはつかれているのかもしれねぇ。
そういうことに、しといてくれ。
――
こういう感じの悶々としている兄さん好き。