兄さん誕生日2015

□焦げたお菓子
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焦げたお菓子


サンジは、焦げたもんなんか一度も作ったことがない。あ、美味しい焦げは別だぞ、グラタンのチーズがこんがり焼けたやつとか、ベーコンエッグをカリカリに焼いたやつとか。そういうのとは別に、何にも焦がしたことなんてねぇんだ。今回だってすぐに焦げちまいやすいって評判のシュークリームをきれいに焼き上げちまったんだ。さすが、サンジ。今日も発明品を焦がしちまったおれとは大違いだ。


「うめー」


「当たり前だ」


そんないつものようにうまいうまい呻くおれたちを見ながらサンジがクールに返す。そしたら、チョッパーがおれが思ってることをさらっと聞いたんだ。


「サンジはすごいな!おれ見てたんだ!シュークリームが膨らんでいくとこ!」


「ああ、おもしれぇだろ?ああやって中身に空洞作ってくんだ」


「真っ黒焦げになっちゃわないのか?」


「そりゃプロだからな。そんなミスねぇよ」


「すげー!!」


チョッパーはきらきら顔を輝かせた。おれもすげぇなって思ったけど、


「一回もねぇのか?サンジ」


「この船に来てからは、か。昔はそりゃあったよ。ガキのころとか」


サンジは苦笑いしながらそんなことを言った。グラタンのチーズを焼きすぎちまったとか、フォンダンショコラを焼きすぎてガトーショコラにしちまったとか。


「その焦げたのどうしたんだ?」


「そりゃ食うさ。もったいねぇし」


「う、うまかったのか」


「まずくても食うって」


サンジは当たり前って顔していったんだ。そしたらチョッパーがうれしそうに笑って、


「サンジも一杯失敗して、おいしいのが作れるようになったんだな!」


「まぁな。でも、お前もだろ?」


「うん。おれもいっぱいしたんだ!」


「な。一緒だよ」


「うん!一緒だ!」


チョッパーは嬉しそうにごちそうさまって言って駆けていった。おれも、ちょっぴり発明にやる気がでた、そんな午後。


――
シュークリーム難しいらしいですね。

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