兄さん誕生日2015

□空に向かって
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『空に向かって』


水の上を歩くには。水に沈む前に、一歩踏み出せばいい。昔ワの国の人間が言ったこと。
では、空を歩くにはどうすればいいのか。そう、同じようにすればいいのだ。落ちる前に、一歩を踏み出せばいい。


「すんげぇ!!サンジがまた空飛んでるー!!」


船長はきらきら顔を輝やかせながら、空を飛ぶ、というより翔ける料理人を見つめた。上空にうまそうな鳥を見つけたと船長が言ったため、ひょいひょいっと追いかけていったのだ。


「だめだな、ありゃうまくねぇやつだ」


確認した後、料理人は煙草をぱくっとくわえてから甲板に降りた。そして、ゆったりと火をつける。だが、船長はそれどころではなかったらしい。


「おれも」


「あ?」


「おれも飛ぶっ!!サンジ!!のせてくれっ!!」


「ああ!?」


船長の反応に、料理人は唖然とした。だが、煙草を味わいながらもちなおす。


「お前跳べるだろ。ゴムの腕でばちんじゃねぇか」


「やだっ!ゆっくりとびてぇんだ」


「わがままだな……」


料理人は呆れたが、船長はお構いなしだ。のせろのせろと呻きながら、料理人の背にぺたりと張り付く。


「……あのなぁ」


「飛ぼう!サンジっ!」


「仕方ねぇな」


料理人はあきらめたように言って、地を蹴る。船長は歓声をあげた。彼らは空に向かって、飛び上がっていく。


「どうだい船長」


「サイコ―だっ!!!」


彼らはしばらく、空の旅を楽しんだ。目的もなく、ただ飛ぶだけ。それでも、十分楽しかったようだ。


――
わたしものせry

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