兄さん誕生日2015
□溶けた氷
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『溶けた氷』
「サンジ―」
「どうしたチョッパー。さっきまであんなにご機嫌だったのに」
ここは夏島。あまりにも暑い為水分がすぐになくなってしまう。だからそのあたりのカフェに入って涼をとっていたし、船医も冷たいジュースを頼んでご機嫌だったはずだ。だが今は悲しげにジュースを見つめている。
「ジュース、おいしくなくなっちゃった」
「なんで。さっきまでうまかったんだろ」
貸してみろ、と料理人は船医のジュースを取り上げる。すると、あー、と納得したように一言つぶやいた。
「なんだ、氷が解けただけじゃねぇか」
「え?」
「とけちまって、うすまったんだよ」
「えええ!?」
船医は驚きの声をあげた。料理人は呆れたように言う。
「あのなぁ。そんくらい知ってるだろ」
「だって、ジュースの氷は特別製で絶対解けないから安心しろってウソップが言ってたぞ!!」
料理人はあとで狙撃手をこらしめてやろうと心に誓った。そして、ため息交じりにジュースを手に取る。
「ちょっと待ってろ」
そして、料理人は店の店主になにやら言ってから、戻ってきた。そして、船医にん、とジュースのグラスを突き出す。
「追加したから、大丈夫だ」
「ありがとう、サンジ」
船医は満足げにジュースに戻った。が。
「サンジ、今度はぬるいぞ」
「氷でも入れろ」
「またうすまっちゃうぞ!」
「すぐのみゃだいじょうぶだ」
「そ、そうなのかっ」
料理人はおおざっぱにいいながら、自分の飲み干したアイスティーの氷をカランと回した。
船医はジュースを豪快にすすっては相変わらず首をかしげていたという。
――
こんな扉絵みたい。