兄さん誕生日2015
□一歩を踏み出す
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「ナ……」
「どうしたの、ロビン?」
「い、いいえ。なんでもないわ……航海士さん」
航海士は首をかしげながら去っていく。考古学者は小さなため息を漏らした。
「ロビンちゃん?」
「……」
「ロビンちゃーん」
「えっ?」
呼ばれて振り返ってみれば、ばつが悪そうな顔をした料理人がたっていた。考古学者ははっと我に返った顔をした。
「見てた?」
「う、うん。ごめん」
「別に謝らなくていいわ」
考古学者はふっと笑った。だが、その表情には少し浮かなさそうだった。料理人は瞬きし、うーんと考えたような顔をする。
「ロビンちゃん」
「なに?コックさん」
「練習する?」
料理人は頬をこりこりかきながら言った。今度は考古学者が瞬きする番だ。料理人は一気に言った。
「多分ナミさんも喜ぶと思うし、それにほらおれたちだって、そうしてくれたら、うれしいし! 」
早口になりながらも、どう?と尋ねるように考古学者の方を見た。考古学者は笑っていた。さっきみたいに悲しそうではなく、嬉しそうに。
「ありがとう」
一拍おいて、深呼吸して、
「……サンジ」
「ロビンちゃん……!!」
料理人は顔をきらきらと輝かせた。考古学者の顔が照れたように赤みがかる。だが、料理人は嬉しそうに拳を握って喜んでいた。
「すごいロビンちゃん!」
「やっぱり恥ずかしいわ」
「大丈夫だって!一歩踏み出したんだから!ほら、もっかい呼んでくれよほー!!」
「……仕方ない人」
考古学者はくすりと笑って、また料理人の名を紡ぐ。
考古学者が全員を名前で呼ぶまで、あと少し。
――
チョパ+の試行錯誤感好き。