兄さん誕生日2015
□魅力ある者
1ページ/1ページ
「どうするかなぁ、フランキー」
「あー」
ある日の午後。狙撃手と船大工は悩んでいた。彼らが悩んでいるのはサニー号の上ではなく、停泊している町のショーウインドウの前だった。そのショーウインドウには、巨大な大砲が一本ドンと構えて置いてある。その豪快さは彼らにとってはとても魅力的なものであった。
「買うか?」
「うーん、値段が」
狙撃手は鼻を困ったように揺らした。魅力的なものほど値段は高い。他の大砲の数倍はする値段だ。
「なんだ、おめぇそこで悩んでたのか」
「え?フランキーはちがうのか?」
てっきり一味の財政的に悩んでたと思ったのに。狙撃手は瞬きする。すると、船大工はごそごそと上着のポケットをあさった。
「ほら、金はたんまりある」
「うおぉ、フランキーマメだなぁ」
「ちげぇよ。ナミからの船修繕費だ」
「ああ、サンジの食費みたいに別会計か」
「そんなもんだ」
船大工は財布を戻した。狙撃手はほえーとうめいたが、
「じゃあ何で悩んでたんだ」
「品はいいんだが、ちょっとキズ」
「え?」
ほら、と船大工が指差した先には黒いボディ。小さくキズが入っていた。あんなの、普通は気づかない。
「あれくらいだめなのか?」
「あぁ。衝撃で壊れやすくなるからな。あぁ、でも、他はいいから。狙撃手であるお前が決めろ」
「えぇ!?そこでふるのか!?」
狙撃手は悩んだ。確かにかっこいいデザインだが、長い間愛せるものがどうせならいい。だったら、どうすれば。
「……あ」
だが、ぽんと思いついたように手を叩いた。
「じゃあさ、これ参考にして作ろう、フランキー!!」
「大砲をか?」
「おう!!フランキーならできるって!!」
狙撃手の言葉には船大工への信頼と確信があった。船大工はにやりと笑って狙撃手の頭をわしわし撫でる。
「ああ、できるさ。信頼できる助手がいりゃな」
「へへ」
「じゃあ材料買うぞ!!」
「おうっ!!」
彼らは魅力あるものを自分で作り出す力をもっている。
――
この二人も好きだー!!