2015年兄さん誕1
□艶やかな女
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あんなに艶やかな人を、私は見たことがなかった。回りは、ただの男勝りの海兵帰りの女だって思うかもしれない。でも、一度だって言えなかったけど、私たちに接してくれていつも笑ってくれたその人は、すごく華やかだった。きらきら、光って見えた。
「わかるわ」
そんな話をベッドに入ったままロビンにしたの。夜は、長いし私たちは女部屋に二人っきりだからいろんな話をするわ。あいつらがどんなことを今日はやらかしたか、偉大なる航路のファッション事情はどうか、明日のお天気はどうなりそうかとか、ほんとになんでも。メリーの時は、そうね。前半はあまりしゃべらなかったかしら。でも、時間がたつにつれて、ロビンはしゃべってくれるようになったの。だから、お喋りが前より楽しいの。
で、今回はサンジ君が言った誉め言葉の話。昼私たちのことを艶やかだって誉めてたから、艶やかな女の人ってどんな人かって話題になったわけ。それで私はベルメールさんのことを話したところ。
「わかってくれる?」
「えぇ。私にも、そういうひとがいたから」
ロビンはそう言いながら少し悲しそうな顔。思い当たる節はあった。でも、ロビンにとってその人を口に出すのは辛いことかもしれないから、こちらからは聞かないことにした。
「やっぱり、いるもんよねぇ。艶やかな人」
「……えぇ。艶やかというよりは、憧れだけど」
ロビンは物思いに更けるような顔をしていた。思い出を噛み締めるようなそんな顔だった。
「でも、いつかは」
私は思い出していた。きらきらと輝く笑顔をこちらに向けながら、私とノジコに愛情を注いでくれた艶やかな女性を。
「あんな風に、なれるかしら」
思わず呟いて、恥ずかしくなっちゃった。だって、ねぇ。ストレートすぎない?どっかのキャプテン見たいな気分だったわ。
でもロビンはバカにしたりせずに笑ってくれたの。
「ナミなら、なれるわよ」
って言ってくれながら。私、ロビンのそんな優しいところが大好きなの。だから、私はロビンに笑いかけた。
「ロビンも、なれるわよ」
っていいながらね。そうしたら、ロビンはキョトンとした顔をちょっとしたの。そして、小さく笑ってくれた。
「ありがとう」
「こっちもよ!」
私とロビンはお互いにっこりと笑いあって、この話はおしまいになった。でも、寝た訳じゃないの。別の話はたくさん続けたわ。この話が一番長くて印象的だった。それだけ。
でも、いいでしょ。たまには、それだけで、終わるのも。
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ロビンちゃんとナミさんのガールズトーク楽しそう。