2015年兄さん誕1

□真っ黒な画用紙
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「どうするー。チョッパー」


「うーん」


ひらり、と悩む狙撃手と船医の前で紙が揺れる。紙、と言っても、まっ白くてお絵かきに使えるような紙ではない。真逆の真っ黒な紙だ。しかも、ちょっと固めの画用紙だから、折り紙にも使えない。


「ラスト一枚なんだよなぁー」


「だよなぁー」


他のカラフルな紙があったなら、何か別のことに使えるかもしれないが、きっかり一枚しかない。どうしよう、と頭を悩ませていると、ぺたぺたと草履の音がした。


「なふぃやっへんは?」


もごもごと何か食べながらの言葉。狙撃手が反応する。


「あ、ルフィ……って何食ってんだお前!!」


「おふぃぎりだ!!ふぁんひにつふってもふぁっふぁ」


船長はずいっと食べかけのおにぎりを突き出してにぃっと笑った。つやつやと光るコメ。食べかけのお山からは赤い梅干しがちらっと覗いている。狙撃手と船医はたらーっとよだれをたらしたが、ぶんぶんと首を振った。


「そうだルフィお前も考えてく、れよ」


「この黒い画用紙のつかいかた!!」


船長の方を見たが、やっぱり視界はおにぎりの方へ。炊き立ての香りがする。そして、黒い海苔がそれを包むかのように磯の香りを放って。狙撃手はぽかんとした。


「のり」


「え?」


「黒と白!!!」


「えええ!?」


狙撃手は嬉しそうに顔を輝かせた。ぽかんとしている船長と船医をさておいて、黒画用紙をひっつかんで男部屋に飛び込んで行った。


「どうひはんは、ごくん、ウソップ」


「わかんない」


「じゃあ見に行こうっ!!!」


船長はおにぎりを飲み込むと、船医をかかえて男部屋に駆け込んだ。すると、狙撃手がにぃっと笑って、テーブルの前で手招きしていた。船長と船医は瞬きしたが、テーブルを見た瞬間、わっと喜びの声をあげる。


「いっぱい余ってたんだ」


机の上には、たくさんの白クレヨン。黒い画用紙の上には、おにぎりがちょこんと書かれていた。


「これで今日はお絵かき大会だ!!!」


「やるーっ!!!」


船長と船医はテーブルに駆け寄り、白いクレヨンをめいめいとって落書きを始めた。狙撃手も負けじと落書きを始める。


狙撃手の発想で、今日は楽しい昼下がりになったのだった。


――
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