2015年兄さん誕1
□ちくりちくりとさすように
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偉大なる航路は、猛吹雪に襲われていた。ばたばたと帆が風に揺れ、島に停泊中のゴーイングメリー号を強く揺らしていた。
「どうした、寝ねぇのか」
そんな中。震えながらハンモックに入ろうとしていた料理人は、布団にくるまったまま座っている狙撃手に気が付いた。刺すような寒さが部屋を包む中、かたかたと鼻を揺らしながら部屋に座り込んでいる。
「さ、さ、寒くて」
「寝れねぇか」
料理人はふうと小さい息をついてハンモックから布団をひょいっと取った。そして狙撃手の側にひょいっと座り二人で布団にくるまった。狙撃手は震えながら彼の方を見る。
「さ、さ、さんじぃぃ」
「おれぁ平気だ」
「ご、ご、ご、ご」
「いいって。重ね着でもしろ」
震えながらの言葉でも何を言っているのか伝わったらしい。料理人はもう一枚毛布をとってかける。狙撃手はありがとうと震えながらいい、ぎゅうっと布団を体に押し付ける。
「さぶっ」
「どうなってんだ、これ」
そこに、船長と剣士が震えながら現れた。二人とも半袖、いつもの格好で見ているだけで寒さを覚える格好だった。
「おい、見てる方がさみぃ。貸してやるからなんか着ろ」
「そそそそそそ」
「ウソップ!サンジ!!なにやってんだ!」
船長は洗濯籠からひょいっと狙撃手のコートをつまんで上に羽織った。剣士も舌打ち混じりに料理人のコートをつまみ上に羽織ると彼らに近づいてくる。
「寒くて、寝れねぇんだと」
「うぶぶぶぶぶぶ」
狙撃手は相変わらず震えたままだった。剣士はふうと息をつく。
「寝なきゃもたねぇぞ。明日も大雪らしい」
「で、で、でも、むりだぁ!!!」
「そうだっ」
船長が彼らの会話を遮るようにぽんと手を叩いた。残りの三人が瞬きする。
「みぃんな、床で寝ようっ」
船長はソファーの側のマットに布団を引っ張り出した。なるほど、そう呻いて剣士も布団を引き寄せて落とす。自分のだけでなく、客人用のまで。料理人は、がちがち震える狙撃手をマットまで引っ張ってやった。
「どうだウソップ!!」
「どうだ、って」
四人は狭いマットに並んでぎゅうぎゅうになった。布団はまだ冷えているが、いつもよりたっぷりかかっている。ついでに、と剣士がぶちまけた洗濯物も布団と一緒に彼らを包んでいた。
「あったけぇなっ」
船長は満足げに闇の中で笑った。暖かくしてやろうと真ん中に入れてもらった狙撃手は、隣の船長と料理人、そしてはじっこの剣士の暖かさを感じた。
「ああ、あったけぇ」
「しししっ」
「これで、寝れるわけだ」
「あー」
四人は嬉しそうに闇の中で笑い合って、そのまま眠った。寝相が悪くて暴れて布団がちょっとはがれても、その暖かさは変わらなかったという。
――
初期4人でもかわいい。