2015年兄さん誕1

□あどけない表情
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「チョッパー!ひまー!!」


「お、おお!?」


メリー号の端っこでくつろいでいた船医は突然の船長の訪問に驚いた。しかも、暇だなんて言われたものだからどう返せばいいのかわからない。今までそんなことを言われたことがなかったからだ。おろおろと困ったように辺りを見渡していると、ことん、とテーブルに何かが置かれた。


「ちょっとしゃべってやりゃいいんだよ」


料理人がジュースの入ったグラスを置いてくれた。もちろんひまひまと相変わらずわめいてる船長の前にも。


「ちょっと、しゃべる??」


「ほら、こいつって子供っぽいから、構ってやりゃ満足するって」


「失敬だぞサンジ!!おれはおとなだっ!!」


船長はむすーっとふくれっ面をした。そのあどけなさ。料理人の言葉に思わず納得してしまう。


「んなに深く考えんなよ」


「うん」


ばふっと船医をなでたあと、料理人は煙草、と外に向かった。船医はその様子をきらきらしながら見、ジュースを一口。甘いリンゴの香りにうっとりしながら、洗濯物を干し始めた料理人を目で追いかけながら言った。


「サンジっておとなだなー」


「そうでもねぇぞっ」


「えっ」


船医は瞬きした。船長はしししと笑いながら、


「サンジはなっ、オールブルーの話するときがおんもしれぇんだ」


「オールブルー……」


船医はまだ聞きなれない単語を復唱する。オールブルー。確か料理人が探す、世界の魚たちが一挙に集まる夢の海だった気がする。


「なんでおもしろいんだ?」


「だってよ、サンジの顔、きらきらするぞ」


きらきらする。ということは大人っぽい顔から子供っぽい顔になるということだろうか。船医は想像してみたが、そんな顔が浮かばなかった。


「ええ!?ほんとか?」


「おれうそつかねぇぞ!だって、ロビンもゾロもウソップもナミもチョッパーもおれもそうだ!みぃんなきらきらするんだ!」


「ほんとかー!!」


船医は驚いたように言った。船長は何度もうなずく。


「そうさっ。みいんなきらきらするから、おんもしれぇんだ!」


船医は想像した。船長はいつもキラキラしているからわかるが、他の一味が想像がつかない。


「一杯話して、いっぱい見ろチョッパー!!そしたら楽しいぞっ!!」


「う、うん!!わかった!!」


船医は頷いた。そうすると船長が嬉しそうに手を叩く。


「じゃあ、きらきら探しに行こう!!チョッパー!!」


「うん、いこう!!」


彼らはジュースを一気に飲み干すと、満足げに笑い合い、暇つぶしもかねてきらきら探しに向かった。彼らの午後は、暇なんて感じないほど有意義なものになるだろう。


――
彼らがときおり見せる子供っぽい表情、大好きです。

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