2015年兄さん誕1
□ひらひらゆれる
1ページ/1ページ
「ちょっと動きづらいわよこれ」
「いんやまぁそんなことをおっしゃらずに!!とてもよくお似合いですし、新世界の最新ブランドものですよ!!」
「似合うわよ、ナミ」
「ほんとっ!?じゃあ買うわ。着て帰るから約束通り2割引いてね!」
「は、はひー!!」
航海士は、みかん色のフリル付のスカートをひらひら揺らしながらご機嫌だった。何も買わなかった考古学者はふわふわ青いセーターにスカートをはいてにこにこ笑いながら続いて店から降りてくる。この美女二人組の組み合わせ。周りの男どもは鼻の下をだらんと伸ばし、お付きの女性に容赦な耳を引っ張られていた。
「次はどこに行く?」
「そうねぇ。カフェでまったりとかど……」
「なぁみすわん!!ろびんちゅわん!!」
すると響いてきた甲高い声。目をハートにした料理人がひいこらわめく狙撃手を連れて走ってきている。航海士と考古学者は瞬きした。
「サンジ君、ウソップ。どうしたの」
「うぉっ!!ナミさんそのスカートせくすぃー!!!!」
「バカ!!それどころじゃねぇだろサンジ!!海軍がきてんだよ!!」
「ええ!!?」
航海士は驚いた。彼らの背後には、そんな影は見えない。
「サンジが見聞で気づいたんだ。あとはお前らだけだから早くいくぞ!!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
狙撃手が猛ダッシュし、考古学者は頷いて狙撃手についていった。航海士も続き、料理人が一番後ろに回ったが
「もー!動きづらいのよこれ」
「ナミさんおんぶし」
「それより周囲に気を配ってなさい」
「ふぁい」
すばやく殴られた料理人は痛がりながら辺りに気を配っていたが、ぴくりとやがて眉を動かす。
「ウソップ!!そっちはダメだ!回られてる!」
「えええ!!だってこっちが船への最短だぞ!!」
「しょーがねぇな!!!」
料理人は前に飛び出した。待ち構えていた敵をばったばったとなぎ倒していく。続くように考古学者が援護に回った。ひぇーと狙撃手は驚いて呻いたが、ちらっと見えた影にはっとなる。
「ナミ!!あぶねぇ!!」
航海士の目の前に飛び出した刀を持った男。料理人がはっと気づき、駆けたが。
「え」
「もらった、あ?」
男の刀は、航海士のスカートに引っかかっていた。びりびり、とフリル付のスカートが破れて、ひらひらとただのスカートに代わっていく。瞬きしている間に料理人が男を蹴飛ばした。
「ごめんナミさん!だいじょ」
「高かったのに、これ」
航海士は静かに天候棒を出した。料理人の顔が、狙撃手の顔がさぁっと青ざめる。考古学者があらら、と小さくつぶやいた。
「かいぐんん!!!弁償しなさいい!!」
「ぎゃああ!!!」
雷が降り注ぎ、残りの海兵たちを容赦なく壊滅させる。三人はぱちぱち瞬きしながら見ることしかできなかったという。
――
お怒りナミさん。そんなナミさんもかわいい。