2015年兄さん誕1
□賑やかな人々
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「おい!ビビ!」
船長の声がして、王女ビビは目を覚ました。どうやら昼寝をしてしまったらしい。ゆったりとしたハンモックに横たわっている。こんなのメリー号にあっただろうか。思わず首をかしげてしまう。
「ルフィさん、今どこ?」
「なに寝ぼけてんだ?新しい島につくとこだぞっ」
船長は嬉しそうにビビの体を起こした。そして、急かすように甲板の上に彼女を立たせるとぐいっと手を引き走らせる。甲板の上に芝生なんてあっただろうか。それに、マストがいつもの倍は大きいし、何より部屋の数が増してるような。ビビは首をかしげるばかりだった。
「ルフィさん、この船……」
「サニーがどうかしたか?」
「サニー……?」
やっぱり、おかしい。この船はゴーイングメリー号だったはずだ。だが、船首にはライオンがガオーと吠えている。いつの間にか船を乗り換えたのか。いや、待て、いつの間にかとは。今は、メリー号に乗ってアラバスタに向かう途中。いや、違う。それは解決したはずだ――
「ビビ!なぁにボーッとしてんだ!」
なにか思いだしかけたところに船長が声をかけてくる。ルフィさん、と疑問を口にしようとしたが、船長はししっとわらってそれをさえぎった。
「会いに来て、くれたんだろっ」
「え?」
「たんじょーび、だからなっ」
ビビは、はっと思い出した。そうだ、今日は2月2日。自身の誕生日だ。だったら、もしかしてここは。
「ほら、ビビ。みぃんな、待ってるぞ!」
答えにたどり着くことに重ねて、ビビははっと気づいた。差し出された手。きたえられた剣士、棒術を使ってきれいな航海士の手、指にたこができた狙撃手の手、細かい切り傷が刻まれた料理人の手、小さな船医の手。既に会場入りしているカルガモの手。そして、ここからは初めてもしくる妙な縁がある手。遠慮がちに出されたオールサンデーの、いや、麦わらの一味の考古学者の手。機械で出来た船大工の手、そしてなぜ生きているのかわからない骨ばった音楽家の手。
「いくぞ!」
船長はぐいっとビビの手を引いた。差し出した手の方に吸い寄せられていく。きっと、新しい島で自分のための宴が始まるのだ。あぁ、どんな感じだろうか。まずは彼女と仲直りをしよう。他の話していない一味とも話してみたい。いやいや他の仲間とも思い出を分かち合いたい。ビビは嬉しそうに笑って、腕の中に飛び込んだ。
―――
「うれしい……ありがとう、みんなぁ」
「ビビ様幸せそうで起こしづらいですね」
「……だな」
ぺルとイガラムは困ったように、カルーを抱いて眠っているビビを見つめていたという。
――
ビビちゃんとロビンちゃんの和解イベください。