2015年兄さん誕1
□髪結い
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「ロビンー。髪くくってー」
「いいわよ。ひとつ?」
「うん」
今日もナミすわんとロビンちゅわんは仲良しだ。あったかいサニー号の甲板で、二人で椅子に座って、ナミすわんの髪をくくってあげてるロビンちゃん。あぁ、あそこだけ女神の巣みてぇに神々しいぜ……!?
「ナミー。ロビンー。何やってんだ?」
「ルフィ」
「だー!!」
釣りに飽きてきたのか、向かってきたクソゴム。せっかくの女神の巣に野郎が乱入してんじゃねえよ!おれはクソゴムをとっとと回収に向かう。
「はいはいせんちょーレディの邪魔するなー」
「サンジ!わ、離せ!」
「いいわよ、サンジ君。あんたもしたげるから」
「えぇ?」
おれは、掴んでるクソゴムと顔を見合わせた。クソゴムは自分の髪をつんつんと指でさしながら、頬を膨らませた。
「くくってもらうんだっ」
「お前がー?」
「おうっ」
確かに、野郎がファッションで括るのはあるっちゃあることだが。このファッションがどうでもいいこいつが、髪を括りたがるってのはやっぱ意外だな。……ってまてまて。あんたもしてあげるってことは。
「おれも、括るの!?」
「遅いわよ。ほら、こっち来なさい」
「しししっ。お揃いだなっ」
「えあう……」
こいつとお揃いってのは気に入らねぇが。まぁ、ナミすわんが括ってくれるからいいんだけどなっ!
ナミさんはおれの髪の毛にそっと触れて櫛でといてくれた。が、
「サンジくん。なんであんたこんなにさらさらなの」
「えー!?」
「ずるいわ!」
んん、んなこと言われても、光栄だけど。
「今度秘訣教えなさいよ!」
「そんなぁ、ナミさんの方がきれいだよほ!ぎゃあ!」
「教えなさいよ!!」
「わ、わ、わ、わかりました!」
怒ってるナミさんもかわいいなぁって思ってる間におれへの作業は終了。ちょこんとなったそれはおしゃれっちゃあおしゃれ、なのか? まぁ、ナミさんがやってくれたなら完璧に違いねぇ!!
「しししっ。ありがとうっ」
「すぐほとげちゃうから気を付けてね、ルフィ」
「おうっ」
麦わら帽子にちょこんとはみ出した髪の束を揺らして、あいつは上機嫌に釣りに戻った。おれも、今日一日はこのままにしとこう、と思ったけど。
「次は?誰にする?」
「チョッパーは無理ね。あとブルックは……わからないわ」
「ウソップ辺りはやりやすそう。フランキーはいけるとして。ゾロは、いけないか」
「ウィッグつける?」
「それ面白そうね!」
レディ達の楽しそうな声が聞こえてきて、同じ髪型のマリモやら長鼻やらを想像して身震いしたおれだった。
じょ、冗談だよな、レディ達。
――
髪括りマリモが本気で想像できない件。