2015年兄さん誕1

□大輪の花
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「あら、ロビン!きれいに咲いたわねー!」

「ありがとう。毎日水やりをしたかいがあったわ」

考古学者はミカン畑の側に花壇を作っている。彼女は元々花が好きで作ってみたかったのだがやはりメリー号の時は色々な心境があって言い出せなかったのだ。そしてエニエスロビーの事件を一味みんなでこえた今、彼女は花壇を作ることをおずおず尋ねれば、仲間たちは二つ返事でOKしてくれたどころか、遠慮するなと逆に叱られる始末だった。

そして、その花壇に、今大きな花が咲いたのである。

「きれいなオレンジー。これ、何て花?」

「マリーゴールド。この船にぴったりの花だと思って」

ちら、とサニー号の船首を見やりながら言えば、航海士はなるほどね、と笑った。その花は小さな花びらが集まって、まるで太陽のように光の下に輝いていた。

「黄色もあるのよ」

「こっちはまだ?」

「えぇ。一緒に植えたのに開花がずれるなんておもしろいわね」

考古学者はまだ蕾の花を撫でる。先っぽがほんのり黄色がかっているから、咲くのももうすぐだろう。

「今度はハーブでも植えようかと思って」

「ルフィに食えないって残念がられた?」

「ふふ、それもあるけど」

考古学者はじょうろを手に取り、蕾に水をやりながら笑う。

「サンジが料理に使えるし、チョッパーも薬に使えるでしょう?ウソップやフランキーも発明に使うかもしれないし」

「ロビンったら」

航海士は呆れたように笑った。せっかく自分でなんでも植えられる花壇を手に入れたのに、考えるのは他人のことばかりだ。

「好きなの植えれば良いじゃない。なんでも何だかんだで喜ぶわよ」

「そうかしら」

「そうよ」

例えば、と航海士は考え、先ほどの大きなマリーゴールドのお花を指差す。何もない、と考古学者は首をかしげたが、そこにひらひらと舞う小さな小さな羽の音。航海士はニヤリと笑う。

「あ、ロビンの花壇に珍しいちょうちょ!」

「なにぃ!?レアちょうちょ!?」

「捕まえないと!」

「網はここですよほー!」

「ブルック準備いいなぁ!」

「あ、図書館の方に逃げたわ」

「なにぃ!まてー!レアちょうちょ!」

船長達は花壇にドタドタと集まってきたと思いきや、図書館の方にドタドタと走っていった。考古学者がなるほど、と苦笑する。航海士は小さくウインクした。

「ね、喜んだでしょ」

「……えぇ」

考古学者はいとおしそうに大輪をなでた。航海士は満足げにそれを見つめていたという。

「あー!ロビンの花が咲いてるぞ!」

「なにぃ!!そりゃ祝わねぇと!」

「花見宴だァ!」

「花だけでも喜んでくれるのね」

「そりゃあんたが嬉しいことは嬉しいわよ」

「……それは、嬉しいわ」

<end>

――
ロビンちゃん花壇。何植えてんだろうなぁとかアンリミ見ながら考え中。

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