兄さん誕生日その3

□無駄な夢
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オールブルーなんかねぇんだ。ガキの戯言妄想だ。バカ言ってねぇでねろ。無駄な夢を追うな。


どれだけおれは、今まで罵倒されてきたんだろうなぁ。


あるレストランに入ってからも、ジジイ以外に夢の話をしたことはなかった。だってその時のおれは、ジジイの宝の船を守ることしか頭に置かないようにしてたから。だから、料理長になることがおれの夢だなんて勝手に言われてた。それはそれで構わなかったし、おれはずっと夢を忘れて、このまま船に居るんだって思ってたが。


でも、今はどうだ。
無駄だ諦めろと言われ続け、おれ自身ですら頭から消そうとしてた夢を当たり前にあるもんだって受け入れてくれる奴らと、夢を目指していいんだって、教えてくれた奴が居る。


時々そいつらが大切過ぎて、やっぱり身を投げ出しそうになっちまうこともあるけど、その度、奴らはおれを助けて、怒鳴って、無理にでも夢が詰まった船に引っ張り戻す。


あいつらにゃ死んだって言わねぇが、最高の、一味だろう?


明日おれは、そんな奴らの船に帰れるんだ、地獄を抜けて。そんで、また、夢の旅に帰る。


そう考えると、明日がいっそう、楽しみだ。


――――
無駄な夢。カマバッカでの最後の夜。以前書いた兄さん寄りのオカマさんに話してる感じ。
 

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