戦国恋詩
□1話
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『確かこの辺りだったか?
・・・・・・何故、こんなとこに人が倒れている?』
めぐが見つけたのは物ではなく人だった。
それに、今の世では珍しい服装をしている。
まるで、戦国の世で生きているような……
でも、それにしてはスタイリッシュすぎると思いつつもとりあえず話しかけてみた。
『おい、生きてるか?』
恵美と暮らすのに厄介な事をしてくれたと思いながらも、声をかけた。
頬に傷跡がある奴はヤのつく職業の人なのか?
もう一人は右に眼帯をしていて、三日月の兜をかぶっているのか・・・
もしかして、双竜か?
「政宗様を此処に連れて来たのはテメェか!!」
殺気と一緒に刀を突き付けられた。
これで、確信した。
コイツは伊達政宗の右目だとな。
そんなことより、この状況を何とかせねば!!
『違いますよ。貴方達こそ私の家にどうやって侵入したのです?』
「侵入だと?何、ふざけたこと言ってやがる!テメェが俺達を拐ったんだろうが!!」
『……拐うとしても、私は女で力が弱い。それで、どうやって拐うというんだ』
ふーん、コイツは私を誘拐犯とみて敵視しているのか。
従者ならもっと冷静に状況判断するべきだ。
まぁ、後ろに庇われている伊達殿は警戒はしているものの、ちゃんと状況を把握しているようだから良いがな。
「Hey girl!!此処は奥州じゃねぇのか?」
『ここは奥州ではなく大阪です。奥州といえば確か、仙台の辺りの昔の地名だったと思いますが、それが何か?』
「What?奥州が昔の地名だと?そんなcrazyなこと信じれるか!!」
『それなら、城外に行きます?
まぁ、今の貴方達の格好では役人に捕まるのは目に見えてますが、それでも行きますか?』
「なら、どうしろってんだ!!」
『とりあえず、いつまでも庭にいては少し肌寒いので居間で話しましょう』
「ああ」
私たちは居間に向かい話した。
『話をする前に名前を聞いてもよろしいですか?私は神崎めぐです』
「奥州筆頭 伊達政宗だ!」
『で、そちらは?』
「俺は竜の右目 片倉小十郎だ!政宗様に何かするつもりなら容赦しねぇ!!」
やっぱり伊達政宗と片倉小十郎だったか…
出来れば夢であって欲しかったのは私だけか?
それに、まだ私に僅かな殺気を向けるのか?
警戒してこそなのか、伊達殿を守るために見定めているのか?
『…伊達殿と片倉殿ですね?
ではまず、ここは貴方達の居た時代ではありません。
およそ400〜500年後の平和な時代です。
これは理解できますか?』
「ああ。さっきここまで歩いてきた時に俺達の居た場所ではないことが分かったからな」
『そうですか。では、説明の続きを話します。
貴方たちには酷な話かもしれませんが、今の時代には戦なんてありませんし、刀を持ち歩いていれば警察という役人に捕まり牢屋へぶち込まれます。
人を殺せば死刑は免れませんのでご理解下さいね?』
「Ah?なら、襲われた時はどうなる?」
『それなら大丈夫です。貴方たちなら現代の人に素手でも勝てますよ。
何せ、剣を知らない人だらけですからねぇ。
まぁ、私の敷地内でしたら、お好きに刀を振るって下さって構いません。
後で道場に案内します。』
「Thank you!」
『あとは、格好ですかね。今じゃ和服は滅多に着ません!
着るとしたら私みたいな洋服なん
ですよ。
ここまでで、何か質問はありますか?』
「これから俺達はどうすればいい?」
『当然、貴方達に未来に知り合いなどいませんし、頼れる方は私だけです。
そこで提案なのですが、貴方達が帰れるまで私の家に居候と言う形で部屋を用意させていただきますが、如何なさいますか?』
「俺は世話になるぜ!」
「なっ?!政宗様っ!!」
「心配いらねぇよ。女にやられるほど柔じゃねぇ you see?」
「はぁ、政宗様がそう仰るのなら…おい、世話になるが信用したわけじゃねぇ。それに、政宗様に何かあったら容赦しねぇ!!」
『承知しました。
では、貴方達には着替えてもらいます!』
めぐは指をパチンと鳴らすと執事がこちらへ向かって来た。
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