連載1
□お目覚めはいつですか?
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ゼロという存在が気になって仕方がなかった。初めて見るはずなのに、初めてではないような気がする。そしてわたしは、ゼロをよく知っているような気がした。それは何故だろうか。考えてみても、分からない。
今日はユーフェミア皇女殿下という方の考えを受け継ぎ、ナナリーが再建した行政特区日本に参加する人たちを募る日だ。ナナリーの騎士ということでシズオカゲットーの式典会場までやって来たわけだが、目の前には多くの日本人が集まっている。スザクから聞いたが、ゼロは国外追放ということらしい。
「ナナリーは僕が守るから、なまえは安全な場所に居て」
「わたしが居たら邪魔かな」
「そういうわけじゃないんだけど、」
「む、スザクったらわたしの腕を信用してないんだ」
そう言うとスザクは困ったように笑う。しかしすぐに表情を険しくすると、わたしの肩に手を置いて言う。
「君をまた、この場で失いたくないんだ」
真剣な翡翠の瞳は、冗談を言っているようには思えなかった。もしかしてそれは、わたしが記憶を失ってしまった時のことを言っているのだろうか。そこまで考えた時、唐突な頭痛と眩暈に襲われ、わたしはその場にうずくまる。
「なまえ……!」
ルルーシュ、そうだ、ルルーシュがゼロ。そしてかつて失った、彼女。ナナリーもルルーシュもスザクも、わたしの幼なじみで戦いなんて知らなかった。わたしが全てを守るはずだった。けれど、ユーフェミア様は、もう――
「ユーフェミア様は、あの後どうなったの……?」
「なまえ、まさか、」
頭のどこかで引っ掛かっていた何かが全て繋がって、わたしはわたしを取り戻すことができた。
C.C.が死んだ世界とはまったく異なった展開を見せるこの世界で、わたしは大切な人たちを守っていかなければならない。しかし、わたしの記憶には鍵がかかっている。守る術を知るには、その鍵を解かなくてはならない。でも、どうすればいいのか。
「スザク、わたしはナナリーをちゃんと守れるよ」
それだけ伝えて、わたしはゼロがやってくるのを待った。