君と私と忘れた音
□どこにいたって
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「・・・、」
うっすらと目を開く
もう、雨は止んでいた。
「・・・あ、目が覚めた?」
「・・・?」
何度か瞬きをしても、目の前にはやはり
幸村君がいた。
何で彼が・・・?
「ほう、目を覚ましたか」
反対側をむくと、今度は柳君が眼に映った
・・・あれ?
それよりも、今私誰かにおんぶされてる・・・?
「真田、高橋さん目覚ましたみたいだよ」
「・・・む、そうか?」
もしかして、おんぶしてくれてる人真田君?
・・・まあ、今の声一番近くから聞こえた気がしたし・・・
・・・真田君の背中、あったかい・・・
「まだ寝ぼけているのか?」
「まあ無理もないよ、1時間近く雨に打たれてたわけだし、それだけ体力は奪われてる」
2人の会話を遠くに感じながら私は無意識にあったかい背中に擦り寄った
「むっ!?」
真田君がびっくりしたように肩をびくつかせた
「真田、やめてやれよ。高橋さんがかわいそうだろう」
「弦一郎、顔が赤いぞ」
「う、うるさい、たわけが・・・」
歩くリズムが心地よくて、
私は本日三度目の意識を手放した。