めいん

□理由
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最近思うことがある




自分がしていることは本当に合っているのだろうかと



自分はおかしいんじゃないんだろうかと



自分は異常なんじゃないんだろうかと





本当にこのままでいいのだろうかと---











[立向居っ]



リビングでぼけーっとしていると綱海さんに名前呼ばれた



[何ですか]



オレは振り向かずに座ったまま返事した



[いや...別に何もねぇけど]



[そうですか]



オレは引き続きぼけーっとし始めた










オレと綱海さんは5年前からつきあっている



もちろんまだ今も



今はマンションで二人一緒に住んでいる



一緒に住んでいるって言ってもお互い学校やらバイトやらで忙しくてあんまり家に一緒にいることはない



なのでぶっちゃけ綱海さんと同居していることよく忘れる













[立向居ってさ別にオレのこと嫌い...とか思ってないよな]


[へっ...]




練習後いつものように一緒に部屋に戻っていると綱海さんが突然そんなこと聞いてきた




[何ですか突然...]


[あっ...いやっ...別に...]




綱海さんは,ははっと軽く笑った


その笑顔は今のことは忘れてくれとでも言っているようだった




[綱海さん]


[んっ]


[好きですよ]


[ふえっ]




綱海さんは聞こえてたのかよっと顔に書いてあった



男同士でなんて話してるんだろうかと思った



でもこの時オレは気持ち悪いだなんて思わなかった














[あれっ立向居っ]




不意に名前呼ばれて後ろ振り向くとそこには懐かしい人の姿があった




[もしかして...綱海さん]


[...っ,そうそうっそうだよっオレだよっ,やっぱ立向居だよな〜]




綱海さんは体だけ大きくなっただけで中身は何も変わっていないようだった




[でもどうして綱海さんがこんなところに...]


[んっ...ああ,オレ2年前にここの大学受けたんだよっんで奇跡的に受かった]




そう言って綱海さんはニカニカした


自分が大学に受かったこと自慢しているのだろうか...


でもオレもげんに受かってるわけだからオレに自慢しても意味ないんじゃないだろうか...


とりあえずオレもニコッと笑顔返した











[いや〜でもやっぱこれって奇跡だよな]




綱海さんは帰り道の途中でオレにそう言った




[確かに...まさか同じ大学だったなんて...]


[やっぱこれって奇跡だよっ]


[...はぁ]




オレはニカニカ笑う綱海さんに苦笑いした



奇跡だなんて信じてもいないし


第一会いたいと願ってこの大学に入ったわけじゃない


会えてうれしいとは思ってるけど...




[なあ...立向居]



綱海さんはいつもとは違う低い声だった



[...はい]



何か怒られるのだろうかと思い一歩距離遠めた




[オレオマエのこと好きなんだ]














[立向居っ]




再び綱海さんに声かけられた




[...だから何ですか]




オレは少し低い声で言った


少しイラついてることアピールしているつもりだ




[いや...だから何もねえけど...オマエぼーっとしすぎだろ...何か恐いぞ...]





オレにはいつもニカニカ笑ってられる綱海さんの方が怖いんですけど




[ぼーっとしたいんですよ...綱海さんにはわかんないでしょうけど...]


[...相談ならのるぞ]





綱海さんはそう言ってオレの前に座った





[...綱海さんはオレとつきあってて変だなーとか思う時ってないですか]





綱海さんは意味がわかってないような顔した




目くりくりにして顔傾けてる


まあこうなることはわかってたけど...





[よっ...よくわかんねえけど...そういうことはないと思う...うん]





綱海さんはごまかすように首ぶんぶんふった



ガキかよ...と思った





[オレは最近よく思うんです,綱海さんとつきあってるオレっておかしいんじゃないのかって...]



[....なっ何で]



[よくわかんないですけど...やっぱ男同士だからかな]






最近よく思うこと



つきあってるときはそんなこといっさい思わなかった



ただただ幸せで幸せで



ずっと綱海さんと一緒に居られたらいいのにななんて



ただただ楽しくて楽しくて






でも


オレたちは男同士



普通の人からみたら変なんだろう



オレって変なのだろうか



おかしいのだろうか



いつしか周りみてみるとそう思うようになっていた



それもつい最近



5年間オレはそういうことは気にせずに綱海さんとつきあってきた




なんだかわからなくなってきた



どあすればいいのかわからない







[立向居さー...]




俯いているオレに綱海さんが話しかける




[そういう細かいことは考えずに気楽にいこうぜっ]




綱海さんはわしゃわしゃとオレの頭なでる




[男同士だからつきあっちゃいけねえっていう法律はないだろ]




オレはとりあえず顔上げる




[オレは幸せだとか楽しいとか思える人とはどんなやつでも一緒にいればいいと思う]





綱海さんはニカッと笑って両腕広げた





[...何ですか]



[んっ...だっこだよっだっこ]



[はっ...]



[今日は特別にだっこしてやるよ]



[...はぁ]





綱海さんはあいかわらずニカニカしていた



まったくこの人はいつも何考えてるのだろうか



なんでそういつも笑ってられるかがわからなくてしかたがない





[勇気くーん]




はやくはやくとでもいうように足ばたつかせている






オレの悩みが消えたわけではないけれど,とりあえず今日は細かいことは気にしないでおこうと思った





オレは綱海さんにとびこんだ








一緒に居たいと思う気持ちに理由なんていらないみたいだ










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