めいん

□裏切り
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[円堂 守...以上だ]


[はいっ]



呼ばれたメンバー達はグラウンドへ走っていく


呼ばれなかったメンバーはベンチに座る



いつものこと




[はぁ...]


オレはため息つきながらベンチに腰おろした


呼ばれないなんてことは分かってたことなのにいざとなるとすごく悲しい



分かっているのに期待してしまうオレ


バカみたいだ



[はぁ...]


またまたため息がでる


イナズマジャパンに入ってから何度ため息がでただろうか--






初め,代表に選ばれたときはうれしかった



これから世界の強敵と戦えるなんてわくわくした




でも,そんな気持ちは無駄だった






円堂 守




GKに選ばれるのはいつもこの人





オレの出る幕なんてない





[はぁ...]


オレはどうしたらいいのだろうか


もっと強くなればいいんだろうか


もっと強くなれば試合に出れるのだろうか


もっと もっと


強くなれば---





[立向居]


不意に呼ばれた名前


声のする方,すなわちオレの隣の席の方に目向けると,そこには久遠監督がいた



[はい...]


とりあえず返事はしといた



監督はその後しばらく黙った後口開いた



[なぜ,オマエはいつもベンチなのか分かるか]



[...っ]



オレはびっくりした


ちょうど自分が考えていたことだったからだ



[えっ...あっ...えーと...]



ここは正直に言った方がよいのだろうか...


オレはあたふたしながらも正直に言うことに決めた



[じっ...自分が弱いからだと思います...]



そう


オレは弱い


オレは弱いんだ


強くなりたい


もっと もっと


強く---




[...そうか]


監督はぽつりとそう言った



オレが弱いことなんて監督は知っているはずだ


なんせオレが弱いから試合にださせてくれないんだ


そんなあたりまえなこと言うまでもないことだ





[私にはオマエが弱いようには見えないがな]



[...えっ]



突然しゃべりだすからびっくりした


オレはしばらくあたふたしていた



すると監督はまた口開いた



[私が思う限りオマエはこのチームの中で一番強い]



監督の言葉がオレの耳に響いた


えっ...


今何て...



[だがオマエは努力が足りないんだ]


[努力...]


[そうだ]


監督はこくりと頷いた


[オマエはがんばっている,だがオマエの秘めた力はもっともっとがんばらないと出せないものなんだ]


[...]


オレは監督の言ってる意味があまり分からなかった


オレが強い---


そんなこと監督の口から言ってもらえるなんて思ってもいなかった


大体オレが強いんだったら試合に出してくれているはず




[試合に出させたいと思っている]


[...っ]


[だがオマエががんばらない限り無理なんだ]





つまり

監督はオレに秘めた力があると言っている


そしてその力はもっともっとがんばらないと出せないもの


でもオレががんばらないから試合に出せない



...っていうことだろうか





[いつがんばるのかと思ったが結局ずっとがんばってくれなかったな]



そう言ってから監督は椅子から立ちあがった


と同時に試合前半終了のホイッスルが鳴った





[オマエには裏切られっぱなしだ]




監督は円堂さん達のもとへと歩き出した


きっと後半戦の作戦知らせだろう





オレはぽつんとベンチに座っていた



いつからだろうか


ベンチに座るのが当たり前だと思うようになったのは



いつからだろうか


円堂さんには絶対に勝てないと思い込んでしまったのは






オマエにはいつも裏切られっぱなしだ





監督の言った言葉がまだ耳に響いていた






膝に置いてる手に熱いものが落ちた



オレの目からはただただ大粒の涙が流れていた



ぼろぼろと流れは止まらない






[次ごそは...がんばっでみぜますっ...]






オレは届くはずがないくらい小さな声でぽつりとつぶやいた








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