こちら、イナズマ探偵事務所です!
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街の中心部から少し離れた場所に、イナズマ探偵事務所がある。
皆、それぞれの悩みを持って依頼してくる人が多いこの探偵事務所は街の中でもかなり評判が高い。
そんな事務所の玄関の前で佇む少女が一人。フワッとした長い髪に蒼い瞳の少女が、深く深呼吸した。
覚悟を決めた少女は扉を開けた。
第1話 始まりはいつだって突然に
「はじめまして、みょうじ なまえです。今日から皆さんと一緒に働く事になりました。よろしくお願いします!」
そう言って私はお辞儀をして、イナズマ探偵事務所の皆にニコッと微笑む。第一印象って大切だよね。
隣にはイナズマ探偵事務所のキャプテンこと円堂守が人懐っこい笑顔で皆に言った。
「と、いう訳だ!みょうじは情報処理能力はもちろん、洞察力や推理力も高いんだ。これから仲間として一緒に動く事が多くなるから皆よろしくな!」
「円堂くん褒め過ぎだよ。まぁ、気兼ねなく話しかけてくれると嬉しいな。そういう訳なんで皆さん、よろしく!」
皆が状況理解できた所で、それぞれが私に自己紹介をする。うわ、イケメンさん達ばっかりだ。
でも、今ここにいるのは、半分程の人数で他の皆は休みらしい。まぁ、一辺に名前覚えるの面倒だからちょうどいいかもね。
とりあえずここにいる全員と挨拶を交わし、円堂くんが話を切り出した。
「よし、じゃあ今日のミーティングを始めるぞ!
今日の依頼は幽霊が出るっていう噂の館を調査して欲しいという依頼だ」
円堂が一旦切って続きを濃紺の髪の少女が引き継ぐ。
確か…、情報収集能力が凄いって噂の子だ。
「この依頼は複数の方からきてますね。その館は町外れにあり誰も住んでないはずなんですけど、奇妙な光が見えたり、変な影を見たり、いろんな情報が多数寄せられています」
「そゆことだ。ってな訳で今日のチームは俺、風丸、吹雪、みょうじで近辺の探索。豪炎寺、染岡、佐久間、音無は依頼者達の聞き込みを頼むぜ」
皆それぞれ返事をして、全員行く準備をする。
そういえば、皆似たような服着てるけど、もしかして制服とかあるのかな。
誰かに聞いてみようと思っていたら、私にショートの髪の少女が私に話しかけてきた。
「食事、サポート担当の木野秋です。よろしくね、なまえちゃん」
「うん。よろしく、秋ちゃん」
なんかほんわかする子だなぁ。
そんな事を考えていると秋ちゃんが、手に持っている服を私に見せる。
「これが、この探偵事務所の制服よ。特に決められてないから、皆自分でアレンジしてるの。スカートとズボン、どっちがいい?」
私はちょっと悩んでから、ズボン、と答える。
いざとなった時、スカートだと動けないし。自分でも女っ気がないとつくづく思うよ、うん。
秋ちゃんはスカートを自分の手元に残して制服を渡した。
「ネクタイとかリボンとかも自由だから、なまえちゃんの好きなのにしていいからね」
「うん、ありがとう」
秋ちゃんにお礼を言い、制服を貰って、私は着替えに行った。
半袖のワイシャツにネクタイをして上に茶色ベストを着る。
全部着替え終わって、よしと呟いてから皆の元へ向かった。
「なまえさん!」
振り返ると、フワッとした髪の少女がキラキラした瞳で私を見ていた。
眩しい、眩しいよ。
「情報収集担当の音無春奈です!よろしくお願いします!」
ニコッと笑う春奈ちゃんはとても可愛らしい。
秋ちゃんといい、可愛い子多いんだなぁ。
「こちらこそよろしくね、春奈ちゃん」
「聞いてますよー。情報処理能力の天才で、色々な難事件を解いてきた探偵さんなんですよね!」
…流石に驚いた。
警察の人には口止めしてるし、つい最近まで違う街にいたのに。
「…流石は情報収集能力の天才、だね。皆は気づいてなかったのに」
「なまえさんも私の事知ってたんですね。流石です!」
いや、春奈ちゃんに比べたら全然だよ、と心の中で呟く。
ともかく、まだ皆には言うのは早いので、口止めしておこう。だって面白くないし。
「まだ皆には秘密ね」
「はいっ!」
よし、と春奈ちゃんの頭を撫でる。か、可愛い。
春奈ちゃんと話した後、全員が用意を終えて集まり、円堂くんが気合いを入れて言う。
「よしっ、皆!今回も張り切って行くぞ!」
全員「おおっ!」
これが私の新しいスタートだ。
To be continued…
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