Dream

□稲妻後快晴
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士郎を引きずって人気のないところへ来た。


未だに状況がわからない士郎は「どうしたの?」と聞いてくる。

この野郎………。


「こ、怖いよ名前ちゃん?
ほら、リラックスリラックス」

『あ゙?』

「ふぇっ」


なんで自分がこんなことされてるのかわからない。
そんな表情。

でも少しも罪悪感がわかないんだよね。


『なんでかわかる?』

「えっ」


いきなり問われ、あたふたとする士郎。


「な、なんでかって……」

『はあ、なんでわかんないの?
どんだけ鈍感なの?』

「そ、そんなこと言われても…」


そう言われて、ボクの中のなにかが切れた。


『………あのさ、士郎』

「な、なに?」

『………別れる?』

「えっ?」


突然の別れ話に、士郎の目が揺れた。

それでもお構いなしに喋り続ける。


『だってさ、ボクという人がいながら他の女の子と一緒にいるなんておかしいよ、普通。
ないだろうけど、ボクがナンパされたらどうするの?
それに一緒にいた子、みんなボクより可愛いじゃないか』

「……………」


そこまで言うと、士郎は黙った。

ボクの目からは涙が溢れていた。

悔しくて、思ったことをそのまま言ってしまおうと思った。


『どうせボクより他の子の方が可愛くていいんでしょ!?
だったらボクなんかと別れて他の女の子と付き合え』


付き合えば。


そう言おうと思ったのに、
言えなかった。

士郎に抱き締められていたから。


『し、士郎!!?なにしてっ』

「名前ちゃんごめん!!」

『えっ』


士郎の言葉に驚いた。

驚くボクを余所に、
そのまま士郎は続けた。


「名前ちゃんがボクのこと思っててくるたのに、
ボクは名前ちゃんほったらかしでごめんね?
こんなんじゃ彼氏失格だよね」

『士郎………』

「こんなやつで本当にごめん。
嫌だと思ったのなら、思い切り振ってくれて構わないから…。
殴ってもいいから………」


そう言って離れる士郎。


………どうするかなんて決まってるよ。



ギュッ



「えっ?」

『振らないし、殴ったりもしないよ。
ボクは士郎が大好きだもん』

「名前ちゃん……」

『………士郎は?』

「えっ、ボク?」

『うん。
士郎はボクのこと、どう思ってるの?』

「…勿論、ボクも大好きだよ。
愛してる」


お互いの唇が重なる。








ボクらの心は




稲妻快晴





(どんな気持ちも)
(必ず晴れるでしょう)




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